世界経済フォーラム(WEF)は7月13日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2022」を発表し、毎年発表している2022年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界146カ国。
ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン。日本は116位で、昨年の120位から4つ順位を上げたが、過去ワースト3の順位となった。その他、ドイツ10位、フランス15位、英国22位、カナダ25位、米国27位、イタリア63位で、日本はG7の中で圧倒的に最下位。韓国は99位、中国は102位で日本より上だった。
同指数では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。今年度の評価では、例年と比べて、非測定の項目が目立つ。
※括弧内は昨年順位
- アイスランド(1)
- フィンランド(2)
- ノルウェー(3)
- ニュージーランド(4)
- スウェーデン(5)
- ルワンダ(7)
- ニカラグア(12)
- ナミビア(6)
- アイルランド(9)
- ドイツ(11)
ランキングは上位は例年通り北欧諸国。アイスランドは12年連続で首位の座についた。北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを叩き出している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い。一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから日本までの間ではほとんど差が出ていない。
北欧諸国の中では相対的に順位の低い32位デンマークは「政治的エンパワーメント」「経済的参加度および機会」が足を引っ張っている。逆に、上位にいるルワンダ、ナミビア等のアフリカ発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」のスコアが高い。
日本は、過去概ね100位から110位の間にいたが、2020年に史上最下位の121位にまで転落し、昨年は120位。今回116位だった。日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、初等教育(小学校)、中等教育(中学校・高校)、出生率の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位のランク。
一方、労働所得、政治家・管理職、国家議員、閣僚では、男女間に差が大きいとの評価で世界ランクがいずれも100位以下。その中でも、最も低いのが、国会議員数でも133位、政治家・管理職数で130位、閣僚数で120位とかなり低い。その他の項目でも50位以内に入った項目はゼロ。
経済分野での日本のランクは、賃金格差が76位とこれでも最も高く、労働力参加83位、所得100位といずれもかなり低い。
中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率、平均余命では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国家議員数ランクは80位と日本よりもかなり高い。
日本では、国会議員、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)等、社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティは評価が著しく低い状態がずっと続いている。
【参照ページ】Global Gender Gap Report 2022
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら