金融庁は7月14日、「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品」への対応として、商品審査段階及びモニタリング段階において国税庁との連携を更に強化し、一層の保険契約者保護を進めていくと発表した。
今回の施策では、商品審査段階では、金融庁が間に入る形で、保険会社と国税庁のコミュニケーションを促進。事前に税務上の見解を取得できるようにすることで、商品開発を促す。またモニタリング段階では、金融庁と国税庁と情報共有を進め、保険会社のモニタリングに活かす。
節税保険の問題では、金融庁は同日、マニュライフ生命保険への行政処分を下している。同事案は、同社が、法人から個人への名義変更による節税を目的とした名義変更プランによる販売を推進することを目的として、低解約返戻金型の法人向け商品を開発していく方針が、取締役会等の資料に明示的に記載されていたことや、前CEO及び前CDO(営業全般の統括責任者)が営業部門の職員等に対して同プランを推進する趣旨の発言を行っていたと考えられる事実が問題視された。
また、現CEOをはじめとした現経営陣に関しても、当庁への報告において「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」の根絶に向けた再発防止策に取り組んでいる中であるにもかかわらず、当社の職員が法人税基本通達改正及び所得税基本通達改正の抜け穴を突いて、不適切な募集と認識しながら、年金保険を使った名義変更プランを考案・推進するといった悪質性が極めて高い事例が認められた。
加えて、現CEOが、商品開発にあたり、営業部門等からの過度の営業推進を牽制し、早期の段階から新商品案を多角的に検証することができるよう、商品開発において経営層が協議・検討を行う場である商品審議会の構成メンバーにチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)等を追加するなど、再発防止策を講じていたが、商品審議会は、開発・販売に向けて協議・検討を進めている法人向けの新商品において、課税の繰り延べ効果が高く、税務上有利になる最高解約返戻率が85%以下となる販売パターンのみを想定した商品とする等、保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる懸念が認められる商品を再び設計するとともに、そのような募集活動が行われないための実効性ある対応策を協議・検討していない等、極めて不適切な実態が認められた。
同社への行政処分では、経営責任の明確化や、今後の対応等に関する業務改善命令が発出された。また8月15日までに経営責任に関する報告書の提出を課した。
【参照ページ】節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について
【参照ページ】マニュライフ生命保険株式会社に対する行政処分について
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