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【国際】米国務省、2022年版人身取引報告書発表。日本は政府の対策不十分で3年連続Tier2

 米国務省人身取引監視対策部は7月18日、各国の人身売買防止への取り組みを評価した2022年版「人身取引報告書」を公表。ヒューマントラフィッキング行為に対する日本政府の取り締まりの甘さや、被害者保護の不足を指摘し、日本の評価は前回と同じくTier2のままだった。一方、台湾、シンガポール、フィリピンはTier1だった。韓国はTier1からTier2に下がった。

【参考】【国際】米国務省、2021年版人身取引報告書発表。日本は政府の対策不十分でTier2のまま(2021年7月3日)

 米国務省は毎年、各国政府による人身売買を防止するための取り組みを評価している。その評価の基準となるのは、各国における人身売買問題の有無やその規模ではなく、各国政府の取り組みが米国連邦法である人身売買被害者保護法(TVPA)が定める最低基準を満たしているか否か。評価は下記の4段階で行われ、Tier 1が最高の評価となる。評価分析は米国大使館、政府関係者、国際機関やNGO、学術研究、ニュース記事、各国への出張調査、米国国務省に直接寄せられるメール等など、様々な関係者から集められた情報を基にしている。

  • Tier1: 政府による人身売買防止の取り組みがTVPAの定める最低基準を満たしている
  • Tier2: 政府による人身売買防止の取り組みがTVPAの定める最低基準を完全には満たせていないものの、TVPAの基準を満たすための努力がなされている
  • Tier2ウォッチリスト: Tier 2の条件を満たすが、人身売買による被害が大きい、または人身売買を防止するための取り組み拡大を証明することができない
  • Tier3: 政府による人身売買防止の取り組みがTVPAの定める最低基準を完全には満たせておらず、満たすための努力もなされていない

 日本は、2018年に初めてTier1となり、2019年は維持できたが、2020年からTier2となっている。今回の報告書では、特に技能実習生での強制労働問題を大きく取り上げた。前年は、強制労働被害者の特定や、啓発キャンペーンを強化したことは評価したが、依然として人身売買行為に対する処罰が罰金や執行猶予付の判決に留まっていて罰則が弱い点を「最低基準に満たない」と表現した。

 また、同報告書の「人身売買(ヒューマン・トラフィッキング)」は、労働だけでなく、強制結婚等の民生関係も含まれている。同報告書は、日本政府が、人身売買の被害者を特定し保護する政治的意思を欠いていると言及。昨年と同様、司法へのアクセスや保護サービスが限られており、日本政府が把握しているよりも多くの強制労働者がいることが多いとも伝えた。

 勧告事項としては、人身売買には罰金刑をなくし最大4年以上の懲役を課すことや、性的人身売買と強制労働の男性犠牲者の特定の強化、外国人労働者斡旋会社が過大な手数料を労働者側に負担させることを防止するため送出し国との間で覚書を締結すること等を掲げた。

【参照ページ】2021 Trafficking in Persons Report
【参照ページ】2021 Trafficking in Persons Report: Japan

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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