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【イギリス】政府、不動産開発事業者に「生物多様性10%ネットポジティブ」義務化。クレジット制度も

 英環境・食糧・農村地域省は2月21日、イングランド地方での住宅、商業施設、インフラの新規開発で、11月以降に「生物多様性ネットポジティブ」を段階的に義務化する方針を発表した。地方当局への開発許可申請で、10%分の生物多様性ネットポジティブの提出が要求される。詳細な法案は2023年後半に発表される。

 英政府は、2021年に環境法を改正し、それに基づき英環境・食糧・農村地域省は2022年3月16日、自然資本全体の長期目標案を発表。2023年2月7日に長期目標が決定し、2030年までに生物多様性ポジティブを実現することも盛り込まれた。

【参考】【イギリス】政府、自然資本の長期目標案発表。NGOは英年金基金の森林破壊リスクに警鐘(2022年3月26日)

 生物多様性ネットポジティブの義務化は、大規模プロジェクトでは2023年11月から、小規模プロジェクトでは2024年4月から義務化される。但し、住宅では、敷地面積1haヘクタール未満で提供される住居数が1戸から9戸、あるいは提供される住居数が不明な場合は敷地面積が0.5ha未満の場合は適用が除外。非住宅では、床面積が1,000m2未満または敷地面積が1ha未満の場合に適用が除外される。

 生物多様性ネットポジティブの証明は、事前に開発事業者が、影響を受ける生息地の種類と状態を評価し、科学的に10%以上のネットネジティブとなることを示さなければいけない。また、オンサイトやオフサイトで生息地を提供できないことを証明できた場合に限り、「最後の手段」として生物多様性クレジットの購入で代替できる制度も設けた。生物多様性クレジットの詳細についてのガイダンスも同時に発行した。

 今回大規模プロジェクトからターゲットとした背景については、小規模プロジェクト開発事業者と地方当局の双方にとって、大規模プロジェクトでの先行事例から知見を得るためと説明した。そのため、地方当局向けに総額1,600万ポンド(約26億円)を用意。生態学者の登用等を含めたキャパシティビルディングを資金使途とした。

 同省は2月27日には、スコットランド政府及びウェールズ政府と共同で侵略的外来種リスクに関する新たな行動計画も発表した。生物多様性喪失による英国経済へのコストは年間18億4,000万ポンドと推定し、英国には現在約2000の外来種が存在し、毎年10種から12種の新種が定着しているとのデータを紹介。その上で、侵略的外来種の導入と拡散のための最もリスクの高いルートとメカニズムのさらなる評価を行った上で、国境や国内での対策レベルを引き上げる。

【参照ページ】New developments to deliver for people and nature
【参照ページ】New strategy launched to protect biodiversity and economy from non-native species

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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