日本生命保険は8月7日、ESG投融資方針を改訂したと発表した。石炭関連プロジェクトへのプロジェクトファイナンスは炭素回収・貯蔵(CCS)設備を搭載したものも禁止するとともに、石油・ガス採掘も一部投融資禁止を決めた。
同社はまず、インテグレーション強化として、同社独自のESGレーティングの対象を、全アセットクラスに拡大する。企業のESGマネジメントのレベルに基づき、中長期的に企業価値等(持続可能な成長力/信用力)に「ポジティブ」「中立」「ネガティブ」「大きくネガティブ」の4段階で評価。ポジティブ・スクリーニングとしてアロケーションルールに適用する。
またネガティブ・スクリーニングでは、従来から禁止対象に指定してきたクラスター弾、生物兵器、化学兵器、対人地雷に加え、核兵器、RSPO認証取得率が100%ではないパーム油関連企業、たばこ関連企業も禁止対象に指定した。
【参考】【日本】日本生命、石炭火力発電への新規プロジェクトファイナンス禁止。CCSありは例外も(2018年7月15日)
気候変動の観点では、1.5℃目標に整合するブラウンフィールドのプロジェクトでない限り、石炭関連プロジェクトへのプロジェクトファイナンスを禁止。石油・ガス関連では、グリーンフィールドの資源開発プロジェクト、1.5℃目標に整合するガス関連プロジェクトを除く資源以外の関連プロジェクトへのプロジェクトファイナンスを禁止した。
テーマ投融資では、2030年度までの目標額を5兆円に引き上げ、そのうち3兆円を「脱炭素ファイナンス枠」に設定。再生可能エネルギー、グリーンファイナンス、イノベーション・ファイナンス、トランジション・ファイナンスを対象分野とした。二酸化炭素排出量や水資源、医療アクセス等の分野でのインパクト測定も行っていく。
エンゲージメント強化では、投融資カーボンフットプリントの約80%を占める約70社に対し、気候変動に関するダイアログを実施。2050年までのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成に向けた排出量削減ロードマップの策定、開示を求めたと強調した。今後、環境・社会のテーマでエンゲージメント実施した後、投融資先企業の変化を4段階で評価し、開示するとした。
【参照ページ】ESG投融資の高度化について
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