
米国西部11州とカナダ西部2州で構成する西部州間エネルギー委員会(WIEB)は4月10日、米国11州での統合電力卸売市場を創設するための独立事業体検討組織ウェストワイド・ガバナンス・パスウェイ・イニシアチブ(WWGPI)発足委員会のフェーズ1検討報告書を発表した。
WIEBは、米国のカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、ネバダ州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、コロラド州、ユタ州、アイダホ州、ワイオミング州、ミネソタ州と、カナダのブリティッシュコロンビア州、アルバータ州で構成。同13州は、1969年の西部州間原子力協定が準拠法となっており、各州知事が委員を任命し、さらに米大統領も委員を1人任命することができる。
さらに米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2006年、連邦電力法に基づく10州知事の要請に基づき、西部相互接続地域諮問機関(WIRAB)を設立。現在、同13州に、テキサス州、サウスダコタ州、ネブラスカ州を加えた16州で構成している。WIRABは、FERC、北米電気信頼性公社(NERC)、西部地域機関(WECC)に対し、西部相互接続における電気系統の信頼性に関する事項について助言する権限を有している。
西部の複数の州規制当局は2023年7月、WIEBとWIRABに対し、独立事業体を創設し、米国西部全体の電力卸売市場を創設することを提案。既存のカリフォルニア州独立系統運用者(CAISO)の拡張デイアヘッド市場(EDAM)と、西部エネルギーインバランス市場(WEIM)の機能も新事業体に継承することも盛り込んでいた。これに基づき2023年下半期に、電力会社、消費者団体、発電事業者、電力小売事業者等で構成される「ウェストワイド・ガバナンス・パスウェイ・イニシアチブ(WWGPI)」発足委員会が設立されていた。WWGPIは全11州から36人の委員で交際されている。州規制当局とFERCはオブザーバーとして参加している。
今回のフェーズ1検討報告書では、西部電力卸売市場を創設するための法的ステップ案を提示。5月8日までパブリックコメントを募集する。ステップ案では、まずWEIM参加事業体での合意形成を先に進め、CAISOの電力の70%以上で合意が得られた後に、CAISO側でも合意を取り付けに行く。双方で合意されれば、地域組織(RO)を創設し、法人化や許認可取得を進め、WEIMとEDAMの統合作業に入る。
今回の提示されたスケジュールでは、2024年前半にCAISOとWEIM側の承認を完了し、2024年末から2025年1月にかけROの創設と理事会組成を完了したいとしている。
【参照ページ】West-Wide Governance Pathways Initiative
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