国際NGOオックスファム・インターナショナルの香港支部オックスファム香港は10月17日、CSRコンサルティングのCSRアジアと共同で、香港の食品大手のサステナビリティ評価結果を発表した。対象となったのは香港証券取引所に上場する食品関連企業61社。2014年度のホームページ等公開情報を元に企業を評価。100点満点で30点以上を獲得した企業は3社しかなかった。
今回の調査は、GRIガイドラインを基に、二酸化炭素排出量、エネルギー消費量、水消費量等環境に関する27項目と、ダイバーシティ、差別、人権、地域社会への配慮、政治献金、雇用慣行等社会に関する66項目の計93項目で評価を行った。環境と社会それぞれについて点数が集計され、その平均点が総合スコアとなった。同調査では、公開情報では補足できない情報やSDGs関連の情報等を収集するため、企業に個別の調査票が送られたが、回答をした企業はゼロ。そのため、公開情報のみでの評価となった。
総合スコアでは、40点以上の企業はなく、30点台が3社、20点台が3社、10点台が20社、一桁台が35社で、平均点は100点満点で10.6。非常に厳しいスコアだった。また、環境、社会別では、環境については40点台の企業が1社、30点台が3社ある一方、社会については40点台はゼロ、30点台が1社と、環境のほうが点数が高かった。オックスファム香港はこの状況について、GRIガイドラインの項目は多岐に渡るため、そもそも香港企業では開示に課題があると言及した。
香港証券取引所は2015年12月21日、上場規則の中のESG報告ガイドの内容を変更し、上場企業に対し「Comply or Explain原則」に基づくESG情報開示義務化を発表した。同ルールは、2段階で導入され、第1フェーズは、2016年1月1日以降の会計年度より標準項目開示が、次に第2フェーズとして2017年1月1日以降の会計年度より環境KPIの開示が義務化される。今回の調査は、2014年度の開示状況を対象としたため、香港証券取引所のESG情報開示義務化の影響は反映されていない。
また、GRIガイドラインは、マテリアリティ(重大性)のある項目の情報開示を要求しており、ガイドライン全ての開示を評価体系とした今回の調査手法は必ずしも適切とは言えない。だが、NGOの勝手格付は欧米でも企業の情報開示推進に少なからず影響を与えてきた。香港証券取引所の義務化ルールと、NGOの監視により、香港企業にも変化が現れてきそうだ。
【報告書】An assessment of Environmental and Social transparency of food related companies currently listing in Hong Kong Stock Exchange
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