【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 2019/01/23 体系的に学ぶ

【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 1

 毎年恒例の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が、2019年は1月22日に開幕しました。ダボス会議の目玉のひとつは、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能性のある企業100社」(ランキング)として発表されます。早速、2019年の顔ぶれを見ていきましょう。

Global 100 トップ10

順位 企業 業界
1 クリスチャン・ハンセン デンマーク バイオ
2 ケリング フランス アパレル
3 ネステ(Neste) フィンランド エネルギー
4 アーステッド デンマーク エネルギー
5 グラクソ・スミスクライン 英国 医薬品
6 プロロジス 米国 不動産
7 ユミコア ベルギー 金属
8 ブラジル銀行 ブラジル 金融
9 新韓金融フィナンシャルグループ 韓国 金融
10 TSMC 台湾 製造業

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

昨年に引き続きトップ10入りしたのは、

  • ネステ(Neste)

 の1社のみ。上位ランキング企業が大幅に入れ替わった背景には、後述のようにランキング評価手法の変更があります。

 また、日本でも知名度の高い企業やSustainable Japanでしばしば取り上げる企業も多数、11位から100位の間にランクインしています。

14位 シスコシステムズ(米国 ハードウェア)
15位 ナチュラ(ブラジル 消費財)
18位 ノバルティス・ファーマ(スイス 医薬品)
21位 エリクソン(スウェーデン 通信)
24位 BNPパリバ(フランス 金融)
25位 シティ・デベロップメンツ(シンガポール 不動産)
28位 シーメンス(ドイツ 電機)
29位 ヴァレオ(フランス 自動車部品)
30位 LG電子(韓国 電機)
31位 アムンディ(フランス 金融)
33位 キャピタランド(シンガポール 不動産)
34位 ヴェスタス(デンマーク 電機)
35位 INGグループ(オランダ 金融)
38位 ダッソー・システムズ(フランス ソフトウェア)
39位 HP(米国 ハードウェア)
45位 ABB(スイス 電機)
50位 アストラゼネカ(英国 医薬品)
52位 アルファベット(米国 IT)
53位 メットライフ(米国 金融)
57位 トタル(フランス エネルギー)
58位 ノボノルディスク(デンマーク 医薬品)
60位 シュナイダーエレクトリック(フランス 電機)
61位 イベルドローラ(スペイン エネルギー)
62位 アルストム(フランス 電機)
63位 バンク・オブ・アメリカ(米国 金融)
64位 ノキア(フィンランド ハードウェア)
65位 ユニリーバ(英国・オランダ 消費財)
67位 コメルツ銀行(ドイツ 金融)
69位 テスラ(米国 自動車)
71位 ウエストパック銀行(オーストラリア 金融)
73位 エーザイ(日本 医薬品)
74位 ナショナル・オーストラリア銀行(オーストラリア 金融)
76位 ロイズ・バンキング・グループ(英国 金融)
78位 武田薬品工業(日本 医薬品)
82位 横河電機(日本 電機)
83位 サムスンSDI(韓国 電機)
84位 アディダス(ドイツ アパレル)
85位 キャンベル・スープ(米国 食品)
89位 積水化学工業(日本 化学)
90位 VMware(米国 ソフトウェア)
92位 花王(日本 消費財)
93位 アクセンチュア(アイルランド コンサルティング)
95位 トヨタ自動車(日本 自動車)
96位 コニカミノルタ(日本 ハードウェア)
98位 ロレアル(フランス 消費財)
99位 BMW(ドイツ 自動車)
100位 パナソニック(日本 ハードウェア)

 日本からは、エーザイ、武田薬品工業、横河電機、積水化学工業、花王、トヨタ自動車、コニカミノルタ、パナソニックの8社がランクイン。日本企業のランクイン数は、2015年の1社から2016年と2017年は4社。2018年も4社を維持し、2019年は2倍の8社となりました。武田薬品工業は4年連続、積水化学工業も2年連続。またかつて常連であったトヨタ自動車も久々に復活しました。しかし、最上位がエーザイの73位と、なんとか100位以内に食らいついているという状況も否めません。

Global 100 地域別社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
ヨーロッパ 44 59 55 49 52 53 59 59 51
北米 21 14 20 31 32 27 25 22 28
アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 17
中南米 3 3 5 2 1 2 2 5 4
中東・アフリカ 1 1 1 0 0 0 0 0 0

 地域別のトップ100企業数はほぼ変わらず。ヨーロッパと北米を合わせた企業で約8割。アジア・太平洋のランクイン数は17社と昨年よりやや増えました。

Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019
アジア 31 23 18 18 15 18 14 14 17
 日本 19 12 4 5 1 4 4 4 8
 韓国 1 2 1 3 4 4 3 3 3
 シンガポール 1 2 3 4 4 4 3 3 2
 オーストラリア 6 6 9 5 4 5 2 2 2
 台湾 0 0 0 0 0 0 0 1 2
 中国 0 0 0 0 1 1 1 1 0
 香港 1 0 1 1 1 0 1 0 0
 インド 3 1 0 0 1 0 0 0 0

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

 アジア・太平洋地域内のランクイン企業数は、日本が倍増。日本以外では、韓国の新韓フィナンシャルグループ、サムスンSDIが連続ランクインし、LG電子も1年ぶりにランクイン。3社とも日本企業よりも上位につけました。シンガポール勢は、シティ・ディベロップメンツとキャピタランドがともに連続ラインクイン。台湾からはTSMCが2年連続で、さらにアドバンテックが初めてトップ100に入りました。

ランキングの評価方法①(4つのスクリーニング)

 Global 100の選出方法は、昨年から大きな変更がありました。まず、評価対象となる企業が、昨年までは毎年10月1日時点で時価総額20億米ドル以上でしたが、今年からは売上10億米ドル以上となり、対象企業が大きく増えました。

 その後に4段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外されます(但し、昨年のGlobal 100ランクイン企業は、制裁スクリーニングに引っかからない限り、自動的にランキングの対象となります)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされていきます。スクリーニングは以下の4点により行われます。

  1. サステナビリティ情報開示
  2. 財務状況
  3. 製品カテゴリー
  4. 制裁

1. サステナビリティ情報開示

 まず最初にスクリーニングがなされるのは、サステナビリティ情報の開示の有無によってです。開示情報は以下の21項目に分類され、昨年までの12項目から大きく増えました。

  • エネルギー生産性
  • GHG生産性
  • 水生産性
  • 廃棄物生産性
  • VOC生産性
  • NOx生産性
  • SOx生産性
  • PM生産性
  • イノベーション能力
  • 税納付
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 年金保護
  • サプライヤー
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数
  • 離職率
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 役員報酬制度
  • 罰金金額率
  • クリーン売上

 この21項目のうち業界ごとに「優先的KPI」が定められており、その優先的KPIを75%以上開示していれば、このスクリーニングを突破することができます。業界ごとに定められる「優先的KPI」は、業界内に属している企業のうち最低でも10%の企業が開示しているものが選定されます。

2. 財務状況

情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされます。具体的には、以下の要件のうち5つ以上満たす必要があります(PiotroskisのFスコアと呼ばれます)。

  1. 純利益が黒字であること
  2. 営業キャッシュフローが黒字であること
  3. (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること
  4. 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること
  5. 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと
  6. 流動比率が高まっていること
  7. 前年に普通株式発行を行っていないこと
  8. 粗利益が前年より増加していること
  9. 総資産回転率が向上していること

3. 製品カテゴリー

 財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われます。昨年までは、たばこと武器だけが除外対象でしたが、今年は大幅に増えました。

  1. たばこ売上が5%以上の企業
  2. クラスター爆弾・核兵器関連企業
  3. ストックホルム国際平和研究所調べの武器販売世界トップ100企業及び武器販売売上が50%以上の企業
  4. 小型兵器売上が5%以上の企業
  5. 畜産での動物福祉のスコアが低い企業
  6. 食肉関連企業
  7. 売上に対する罰金額が著しく大きい企業
  8. InfluenceMap調べで気候変動規制対応が低い企業
  9. ノルウェー銀行投資マネジメント部門(NBIM)が「環境破壊が著しい」と指定した企業
  10. オックスフォード大学スミススクールが一般炭(石炭)売上が30%以上と判断した企業
  11. Global Canopy Programmeで熱帯雨林破壊防止努力が欠けていると判断された企業
  12. 営利刑務所運営企業
  13. フリーダム・ハウスが「自由度が最悪」と認定した国での売上が5%以上の企業
  14. RepRiskが国連グローバル・コンパクト(UNGC)違反が著しいと判断した企業
  15. ギャンブル売上が5%以上の企業
  16. ポルノ関連企業

4. 制裁

 最後に、2018年9月30日までの過去12ヶ月の間に、サステナビリティに関する問題で罰金等を受けていないかがチェックされます。罰金額が総収益に占める割合の大きさが業界内で上位(ワースト)25%以内にいなければ、このスクリーニングを通過します。

ランキングの評価方法②(スコアリング)

 スコアリングする際の評価基準は、「サステナビリティ情報開示」のスクリーニングで使用した優先的KPIが用いられます。優先的KPIごとの数値の平均がその企業のスコアとなり、そのスコアに準じて順位が決まります。今回は大きな変化がありました(赤字の箇所が変更あり)。

  • エネルギー生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷(直接的および間接的なエネルギー消費量ー再生可能エネルギー消費量)
  • GHG生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 二酸化炭素排出量(スコープ1とスコープ2)
  • 水生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 水使用量
  • 廃棄物生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 廃棄物排出量
  • VOC生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ VOC排出量
  • NOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 窒素酸化物排出量
  • SOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 硫黄酸化物排出量
  • PM生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ PM排出量
  • イノベーション能力: R&D投資 ÷ 過去3年売上
  • 税納付: 税金納付額 ÷ 過去5年EBITDA
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 年金保護: 75% ×(DB及びDC年金掛金total ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)+ 25% ×((DB年金資産の公正価値 ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)− (1-(DB年金資産の公正価値 ÷ 負債パーセンタイルランク))
  • サプライヤー:ブルームバーグのデータをもとに企業の最大サプライヤーを特定。そのサプライヤーをGlobal 100と同じ評価方法でスコアリングした際のスコア
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数: 事故死者数 ÷ 総従業員数
  • 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 役員報酬制度: サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無
  • クリーン売上: Corporate Knightsが指定する「クリーン」商品・サービス売上比率

(今年度から1項目が新規追加)

  • 罰金金額率:罰金・和解金額 ÷ 売上

 今年から、大気汚染物質のVOC、NOx、SOx、PMの4項目が独立項目となり、安全衛生でも事故死者数と休業災害率が分離。ダイバーシティでも経営陣と取締役の女性比率がそれぞれ独立項目となりました。

最終ランキングの作成

 最終ランキングは全業界横断での評価ではなく、まず業界ごとのスコアランキング表が作られます。そして、ベンチマーク指標であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)でのセクター(業界)割合を用い、各業界からの最終ランキングに入ることができる業界ごとの企業数を割り当てます。そして、その業界割当数を用い業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れられていきます。

【ランキング】Global 100 2019

著者プロフィール

夫馬 賢治

株式会社ニューラル 代表取締役CEO

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