飲料世界大手ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)は1月17日、マネーロンダリング及び反トラスト行為を検知するプラットフォーム「BrewRight」を開発したと発表した。機械学習を活用し、50カ国以上の事業活動データを元に、同社の法的リスクや違法行為防止に向けた監視を行う。歴史的に見て、企業の不正調査は事後対応になりがち。すでに賄賂問題が発覚したマイクロソフトやウォルマートでもABインベブ同様の動きがある。
今回発表のABインベブのプラットフォームは、効果的な手法を目指し設計。開発には3年を要した。大企業では日々巨額の決済が行われるが、その中身の調査には非常に時間と人手を要する。機械学習を活用することで、これまで法的リスクの調査等に費やしていた数千米ドルのコストが削減されると分析した。
同プラットフォーム開発の背景には、同社の2016年のSABMiller買収がある。同社は買収時に、世界各国の現地法人へ赴き、調査を行う弁護士事務所や監査法人へ依拠する部分が多いことを課題視。同社法務部内外で活用可能なレポジトリ構築を決めたという。現在同プラットフォームでは、企業12社以上からのERPシステムだけでなく、制裁リストや腐敗認識指数等の外部データも抽出可能。同社法務部は疑わしき支払いを特定、調査できるとした。
データ分析や人工知能(AI)は、厳格な規制下にある金融業界等で、マネーロンダリング対策に利用されるようになってきている。しかし、各企業への適用には時間を要している状況。公認不正検査士協会の2019年報告書によると、初歩的なデータ分析でさえ、調査回答企業の22%にしか活用されておらず、人工知能(AI)活用については13%に留まるとした。
【参照ページ】AB InBev Taps Machine Learning to Root Out Corruption
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