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【アメリカ】Boragenとドール、バナナに有害な黒シガトカ病対策の自然農薬開発で協働

 ホウ素化学米Boragenは5月19日、食品世界大手米ドール・フード・カンパニー子会社のドール・フレッシュ・フルーツ・カンパニーと協働し、バナナを有害な黒シガトカ病から保護するホウ素を活用した新たなソリューション開発で協働すると発表した。ホウ素は自然界に存在している自然物質。植物に必須の微量栄養素でもあり、近年生命科学で注目を集めている。

 黒シガトカ病は、真菌病原菌Mycosphaerella fijiensisが原因で発生。一般的に栽培されているバナナにおいて、最も破壊的な病気の1つであり、すでにいくつかの殺菌剤への耐性を有している。対処せずにいると、バナナ農園全体が数週間で壊滅する可能性がある程に強力。バナナやオオバコが経済的に重要な作物または主食となっている国に、著しい損失を与えている。

 バナナが最大輸出品目のコロンビアは2019年、黒シガトカ病が猛威を振るい、緊急事態宣言を発令している。その他にもバナナ生産国には、エクアドル、コスタリカ、グアテマラ等があるが、現在国際マーケットで流通しているバナナの99%はキャベンディッシュ種で、黒シガトカ病のリスクがある。

 バナナ産業では、過去には同種より優れたグロス・ミシェル種が主流であったが、1950年代には日本では「つる割病」と呼ばれるフザリウム属の病原菌感染症「Tropical Race 4(TR4)」が世界的に流行し、生産数が激減。TR4は1989年に台湾で再発し、その後東南アジアにも拡大。2013年にはヨルダンでも確認され、世界的な流行が危惧されている。

 一方、昨今では化学物質の利用削減に向けた機運が高まり、利用可能な作物保護薬品が減少。黒シガトカ病から保護するための代替品がかつてない程に重要になっている。

 Boragenは目下、新たな作用機序(MOA)で広範囲に強力な殺菌活性のある新規農薬化合物を開発中。作用機序とは、薬剤が薬理学的効果を発揮するための特異的な生化学的相互作用のこと。 同社は、黒シガトカ病が持つ殺菌剤耐性に対抗可能なマルチサイトMOAを有した化合物を保有しており、従来の市販製品より活性成分が少なくて済むという。

 しかし、危機に瀕している食品はバナナだけではない。米国フロリダ州では、柑橘類もカンキツグリーニング病による打撃を受けている。同疾患は、柑橘類を黄色に変色させ、葉や果実にも斑点が現れる。酸味や薬品風味等、果実の味にも影響を及ぼすため、多くのスタートアップ企業が解決策を模索。Boragenはフロリダの財団と協働し、緑化抵抗性を有する柑橘類の台木を栽培に成功した。

 その他、動物の健康では、アフリカの豚コレラ(ASF)や鳥インフルエンザ等も課題視。遺伝子検査により未調理の豚肉製品でアフリカの豚熱(CSF)の検出を行った分子診断システム開発MatMaCorpや、ベルギーの作物保護製品の代替品製造Biotalys等が台頭してきている。

【参照ページ】Boragen Collaborates with Dole to Develop Boron-based Treatment for Major Banana Disease

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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