フィリピンの控訴裁判所(高等裁判所に相当)は7月11日、豪資源採掘大手OceanaGoldに対し、同国内での採掘ライセンス「金融・技術支援合意(FTAA)」期間終了後の金・銅採掘を認めないとする判決を6月30日に下したことを公表した。同社は、フィリピン政府から採掘継続の許可を得ていると主張していたが認められなかった。同社は今回の判決を不服とし、フィリピン最高裁判所への上告も辞さない構え。
OceanaGoldは、1995年採掘法に基づき、25年間の採掘ライセンスが与えられた初の企業。同法では、25年間の採掘ライセンスと、その後追加で25年間の採掘ライセンスを中央政府が許可できる内容となっており、OceanaGoldが取得したディディピオ鉱区の最初の25年間のライセンスが2019年6月20日に期限を迎えていた。同鉱区は、当初は37,000ヘクタールで、2038年に10,266ヘクタールに縮小されたが、依然として資源埋蔵量は金が141万オンス、銅が169,400tあると見られている。
OceanaGoldは、ライセンス期間終了後も採掘を継続している理由とし、同国環境・天然資源省(DENR)の鉱山地球科学局(MGB)から、ライセンス更新まで採掘を継続してもよいとする書簡を受け取っていたと主張していた。OceanaGoldは、オーストラリア証券取引所とトロント証券取引所に上場している。
一方、現地のヌエヴァ・ヴィスカヤ州政府は、ライセンス期間終了の直後、OceanaGoldの操業を阻止するよう住民に求める指示を発布。それにより、先住民族のトゥワリ・イフガオ族が中心となり、鉱区にバリケードを設置し、事業車両の校区内への侵入を阻止する強硬手段に出た。
今回の裁判所は、このバリケード行為を違法行為とするOceanaGold側が、ヌエヴァ・ヴィスカヤ州政府を相手取り提訴したもの。同社は、地方政府には中央政府の決定に反する行為をする権限はなく、同社は中央政府から操業を認められていると主張した。しかし、地方裁判所で同社は敗訴し、さらに今回、控訴裁判所でも敗訴となった。判決理由は、OceanaGoldは公式な採掘ライセンスを有していないというものだった。
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