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【ミャンマー】国軍、クーデターで政権掌握。米政府は制裁復活も示唆。日本大使館は自宅待機奨励

 ミャンマー国軍は2月1日、ミャンマー現政権の最高位為政者アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相やウィン・ミン大統領等、複数の政権幹部の身柄を拘束。さらに、国軍所有のミャワディ・テレビを通じて、1年間の「非常事態宣言」を発令した。国軍は、国軍元将軍のミン・スエ副大統領を大統領代行に任命し、ミン・アウン・フライン国軍総司令官が立法、行政、司法の3権が委譲された。

 国軍は、今回のクーデターの理由として、2020年11月の総選挙で、UEC(選挙管理委員会)が「膨大な不正」に対処できなかったためと現政権を非難。国家の「安定」を維持するために必要だったと主張している。同総選挙では、アウン・サン・スー・チー氏日着る与党・国民民主連盟(NLD)が単独過半数を上回る議席を確保していたが、国軍系政党は不正があったと主張していた。不正調査に関しては、UECは28日、選挙は公正で透明なものだったとの見解を示したばかりだった。

 ミャンマー国営放送は同日、テレビとラジオの通常放送ができなくなっていると表明。国軍が電波を遮断している可能性があるという。国軍は、最大都市ヤンゴンの市庁舎も掌握した。その後、国営放送は、国軍は大臣と副大臣24人を解任し、大臣と副大臣を含む政権幹部11人を新たに任命した。

 米バイデン大統領は同日、制裁発動を警告。「民主化移行と法の支配への直接攻撃だ」と国軍を非難。米政府は民主化が進展したことに伴い、ミャンマーに対する制裁を解除していたが、制裁に関する見直しを直ちに行う。また国際社会に対し、権力の即時放棄、拘束された活動家や当局者の解放、通信制限の解除等を団結して国軍に要求していくべきとした。

 EUからも、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長、ジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表の3者から、11月の総選挙結果の尊重と、拘束者の解放を求める声明を発表。但し、制裁発動にはまだ言及していない。EU各国からもドイツ、スペイン、ベルギー、ノルウェー等の外相からも危惧を伝える声明が出た。英国のボリス・ジョンソン首相も拘束者の即時解放を求めた。

 オーストラリアのペイン外相も同日、国軍に対し、法の支配の尊重、合法的な枠組みでの紛争解決し、違法に拘束されている文民の指導者等全員の即時開放を求める声明を発表した。

 一方、中国の外務省報道官は、中国はミャンマーの友好的な隣国との前提をおき、国内の当事者間での自主解決を望むとの声明を発表し、国軍への非難は避けた。

 今回の事態を受け、各国のミャンマー大使館では、抗議デモが発生。日本でも東京都の国連大学前に在日ミャンマー人等が約1千人集まり、国軍への非難デモが行われた。

 日本政府では、加藤勝信官房長官が同日、「民主化プロセスが損なわれる事態に重大な懸念を有している」と表明した上で、拘束された政権幹部の解放を国軍に求めた。また、現地の在ミャンマー日本大使館では、現地の邦人に対し不要不急の外出を控えるよう伝えた。外務省の公表データでは、ミャンマーにる日本人は2018年10月時点で2,776人。進出している日本企業は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の2020年5月末のデータで414社。但し、新型コロナウイルス・パンデミックのため、現地滞在の日本人は大幅に少なくなっていることも考えられる。

 今回の事態発生を受け、ミャンマーの国軍関連企業との事業継続については人権観点から問題視されていく可能性も高い。日本企業にもサプライチェーン上のデューデリジェンス強化が求められる。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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