経済産業省資源エネルギー庁は7月12日、総合資源エネルギー調査会の第7回発電コスト検証ワーキンググループを開催。2030年の電源毎の発電コストの見通しを示した。その中で、資源エネルギー庁として初めて、太陽光発電が最もコストが安い電源になるとの考えを示した。
今回の発電コスト見通しの算出は、第6次エネルギー基本計画の策定を意識されてのもの。前回の第5次エネルギー基本計画策定でも2015年に、2014年時点と2030年時点のコストが算出されており、今回も同様に2020年時点と2030年時点のコストを試算した。
今回(2021年)試算
前回(2015年)試算
試算の手法では、発電コストだけを考慮しており、系統制約等を考慮されていない。また、「2030年のコストは、燃料費の見通し、設備の稼働年数・設備利用率、太陽光の導入量などの試算の前提を変えれば、結果は変わる」という留意も示されている。しかしそれでも、これまで同様の手法で、最もコストが安い電源が、原子力発電から太陽光発電に変わったインパクトは大きい。
順位が変わった要因は、太陽光・風力では、イノベーションや量産効果により将来の価格低下等が見込まれる効果が加味されたことにある。原子力発電については、新規制基準への対応を踏まえた追加的安全対策費の増額や、福島原発事故への対応費用の増額等を反映され、発電コスト見通しが上昇した。
また同日には、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会も開催され、電力販売での新電力のシェアは2021年3月時点で19.5%にまで上がってきていることがわかった。高圧区分では26.7%にまでなっている。地域別では東京が27.2%で最も高い。
同小委員会では、2020年12月から2021年1月の電力スポット価格の高騰の影響の発表もあり、インバランス(電力小売事業者の需給不一致ペナルティ)が全体で、4,754億円のペナルティが発生。そのうち200億円が未払いのまま貸倒れのリスクがあるという。さらにインバランスの収支全体では、1,300億円から1,400億円の余剰収益が生まれており、送配電事業者にとって大きな利益となっていた。資源エネルギー庁としては、余剰利益については、需要家に還元するよう求めていく考え。
【参照ページ】2021年 第7回 発電コスト検証ワーキンググループ
【参照ページ】2015年 長期エネルギー需給見通し関連資料
【参照ページ】第37回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会
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