小売世界大手米ウォルマートは6月14日、食品等の安全性と健康分野の2021年の進捗状況を公表した。栄養・健康分野でのアクションを加速している。
食品の安全性では、同社のプログラム「グローバル食品・製品安全コンプライアンス・プログラム」を通じ、サプライヤーや研究機関等と協働で、安全な食品・製品サプライチェーンを構築。同社が事業展開する全地域の規制に準拠し、同社の行動規範を反映したポリシーも策定した。
同社サプライヤーに対しては、同ポリシーのもと安全性確保を要請。国際食品安全イニシアチブ(GFSI)による監査での認証取得を義務化する他、第三者機関による定期的な食品安全監査も実施することで、世界的に一貫した高水準の安全性とコンプライアンス準拠を担保している。その他製品でも、不適合と判断された場合、サプライヤーに是正を指示し、必要に応じて販売中止や店頭・オンラインでの購入禁止も行っている。
栄養では、栄養価の高い同社プライベートブランド(PB)商品へ付与する規格「Great for You」を10年以上にわたり展開。同企画は、米国人の食事摂取基準(DGA)との整合性が最も高いとして、ロバート・ウッド・ジョンソン財団から栄養基準でトップクラスとの評価を受けた。2021年には、2025年までの米農務省(USDA)の食事摂取基準に適合し、規格のアップデートも開始。2022年には新基準の適用を進める。
健康な食品アクセスでは、米国の約90%世帯から16km圏内に同社小売店舗を設置。米国農務省(USDA)および州政府と協働し、消費者のオンラインでの食品購入に対する補助のもと、eコマースによる広範囲へのアクセスを可能にした。
食品不足に悩まされている地域に対しては、売れ残りの食品を寄付。2022年度には、米国の店舗および配送センターから米食糧NGOフィーディング・アメリカに対し、食品31万t以上が寄付された。
さらに同社は、健康的な食品に関する情報開示と消費者教育にも注力。人と地球の健康に配慮した製品を消費者が識別できるよう、商品にアイコンを付与する規格「Built for Better」を発足した。新規格では、Great for You規格同様、栄養価の高さを評価するのに加え、消費者が望まない原料や成分を使用せず、製造した家庭用品・美容品も対象とした。
食育では、ウォルマート財団と協働し、野菜や果物のおいしさや健康を子供や家族に伝えるプログラム等への資金を拠出。2022会計年度には、110万人への食育を支援した。
サステナブル・ケミストリーでは、製品開発における持続可能な化学の原則の適用を行い、有害化学物質の生産と使用削減または排除を進めている。2022年には、化学物質によるフットプリントを2017年比17%削減に成功。安全認証機関米ULが管理するWERCSmartシステムを活用し、製品単位での進捗状況をモニタリング、開示する。
また課題としては、食品・製品の安全性プログラムを実施する上での第三者基準やイニシアチブの成熟度、厳格さ、有効性を指摘。要件への対応状況モニタリング・ツールの有効性にも限度があるとした。
具体的には、食品安全性リスクは上流工程にあることが多く、製品原材料の原産地、生産方法等に関する信頼できるデータが欠如していると説明。透明性とトレーサビリティを向上させるブロックチェーン等の技術が有効だが、導入には時間を要するため、さらなるイノベーションが必要と分析した。
【参照ページ】Safer, healthier food & other products
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