ドイツ連邦政府が設置したガス価格委員会は10月31日、ガス価格に上限を設ける最終報告書を政府に提示した。2023年3月から少なくとも2024年4月末まで、家庭の基本的なガス消費量の80%に関し、ガス価格の上限をkWh当たり12ユーロセントにすべきと提言した。ドイツではウクライナ戦争後にガス価格が2.5倍ほどの水準となり、10月の平均価格は同18.6ユーロだった。
同報告書は、上限価格設定とは別に、個人需要家向けの一回限りの助成金支給も提言。概ね1ヶ月分のガス代を支給する考え。また、2021年比でガス消費量を20%以上節約した個人需要家には、一定の金銭的インセンティブを与えることも提案した。但し、年間所得が72,000ユーロを上回る場合は、助成金支給や上限設定の恩恵で受け取った金額を非現金所得として課税対象にすべきとした。反対に、経済的に困窮している人には、2023年初旬には助成金が支給されるべきとした。
さらに同報告書は、2023年1月1日から2024年4月末まで、産業用の大口需要家向けの価格も、基本的な消費量の70%に関し、1kWh当たり7ユーロセントに制限すべきと提言した。適用対象は、ドイツ国内に既存の拠点を維持し、90%の雇用を1年間維持すること等が条件として課される。
ショルツ首相は9月、総額2,000億ユーロの予算パッケージを発表しており、今回の施策の財源として活用する考えとみられる。早速11月1日、12月中に需要家向けの一回限りの助成金を支給する法案を閣議決定した。対象は、年間ガス消費量が1,500MWh未満の家庭と中小企業で、12月に支払うガス料金が全額免除される。但し、暖房用ガスに関しては、契約形態が異なるため、9月の請求額に調整係数を加えて定額での支払免除となる。
また、再生可能エネルギーの拡大を企画する連邦・週協力委員会は10月28日、陸上風力発電を野心的に増強する必要性を強調した報告書を発行。申請から許認可までの期間の短縮や、また最近では約2.2GWの風力発電プロジェクトの承認申請が却下または撤回された点も課題として指摘した。
【参照ページ】Germany finalises details of planned gas price cap
【参照ページ】Bundeskabinett verabschiedet Soforthilfe Dezember für Gas und Wärme
【参照ページ】Zweiter Bericht des Bund-Länder- Kooperationsausschusses zum Stand des Ausbaus der erneuerbaren Energien veröffentlicht
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