内閣官房に設置されている「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は11月9日、現在策定中の中期防衛力整備計画で「5年以内の抜本的強化」を遂行するためには、かつてないほどの予算が必要となるため、国民負担を求めるとの考えで概ね一致した。恒久的に増税される路線が濃厚となった。
同会議は、政府側からは、首相、内閣官房長官、外相、財相、防衛相、経済安全保障担当相兼内閣府特命担当大臣、総務相、文部科学相、経済産業相、国土交通相手が出席。また折木良一・元統合幕僚長、佐藤雄二・元海上保安庁長官も出席した。それ以外には民間有識者10人が委員として選ばれている。
岸田文雄首相は、2021年12月の所信表明演説で外交政策と国防政策の双方の骨格となる「国家安全保障戦略」を2022年末までに改定すると表明。それに合わせて、防衛力水準を定める「防衛大綱」と、5カ年予算を定める「中期防衛力整備計画」についても2024年3月に終わりを迎える現行計画を前倒しして改定し、2023年4月から2027年3月末までの5カ年計画を策定する方針も掲げている。現行計画では、前計画から1割予算を増加し、5年間の予算総額を過去最大級の27兆4,700億円としている。
防衛省は同会議の中で、防衛力の抜本的強化が必要と説明。特に、宇宙・サイバー・電磁波に関する防衛力については、2018年に策定された現在の防衛大綱である程度は強化されたが、ミサイルや無人機に対処する防衛能力の大幅な強化が必要と訴えた。同会議では、ロシア、中国、北朝鮮を敵国として想定している。また今回の会議では、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能強化、研究開発、軍需産業についても予算が必要と指摘。それに伴い、次の中期防衛力整備計画の終わりとなる2027年度予算までに大幅な防衛予算の拡大が必要とした。
これに対し、財務省は、防衛力を強化し、維持するためには、2027年度までの予算だけでなく、2028年度以降も大規模な予算を継続する必要が出てくると説明。そのため恒久的な財源確保として、「幅広い税目による国民負担」が必要になるとした。
【参照ページ】国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議
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