欧州委員会は4月5日、EUタクソノミー規則に基づき、気候変動以外の4分野の環境タクソノミーを定める委託法令案を発表した。5月3日までパブリックコメントを募集する。
欧州委員会は、事業や金融でのグリーンウォッシュを防止するため、適格な資金使途要件を定める目的で2020年にEUタクソノミー規則を制定。「気候変動緩和」「気候変動適応」「持続可能な消費と水・海洋資源の保護」「サーキュラーエコノミーへの転換」「汚染防止と汚染管理」「生物多様性と生態系の保全及び再生」の6テーマで基準を策定することをルール化した。そのうち、「気候変動緩和」「気候変動適応」の2つ基準は、原子力発電と天然ガスを除き2021年「EUタクソノミー気候委託法令」として決定。原子力発電と天然ガスの基準も2022年7月に決まった。
【参考】【EU】EUタクソノミー規則、欧州議会を通過し成立。グリーンとトランジションの2種類設定(2020年6月22日)
【参考】【EU】EU理事会、EUタクソノミー気候委託法令を最終承認。正式に成立。2022年1月に施行(2021年12月10日)
【参考】【EU】欧州議会本会議、EUタクソノミーで原発と天然ガスを厳しい条件の中で容認。異議動議を否決(2022年7月7日)
今回提示された委託法令案は、「気候変動緩和」「気候変動適応」以外の4テーマの基準を定めるもの。リスクが高いと判断された製造業、上下水道、廃棄物管理、建設、土木、災害リスク管理、ICT、環境保全及び再生、宿泊業の各セクター毎に基準値を定めるアプローチを採った。具体的には、気候変動委託法令と同様、DNSHルールに関する「技術的スクリーニング基準(TSC)」が記載された。
対象として指定されたセクターは、テーマ毎に異なる。「持続可能な消費と水・海洋資源の保全」では、製造業、上下水道、災害リスク管理、ICTが対象。サーキュラーエコノミーへの転換では、製造業、上下水道、建設・不動産、ICT、修理・再製造が対象。「汚染防止と汚染管理」では、製造業と上下水道が対象となった。生物多様性と生態系の保全及び再生では、環境再生事業の他、宿泊業のみが対象となった。但し、今回は基準策定が間に合っていないセクターも多く、農林水産業等を中心に今後基準を開発していく計画。
今回の環境4分野の委託法令が制定されると、多くのセクターでは、環境6分野全てのTSCが出揃うことになる。また、EUでは、EUタクソノミー要件を構成する「ミニマム・セーフガード」についても2022年10月に最終報告書を発行し、詳細要件を固めた。また、別途、EU社会タクソノミーの策定作業も進められている。
【参考】【EU】欧州委、EUタクソノミー規則のミニマム・セーフガード措置で細則案公表。パブコメ募集(2022年8月16日)
【参考】【EU】欧州委の専門家会合、EU社会タクソノミーに関する最終報告書発表。今後、詳細検討(2022年2月28日)
【参照ページ】Sustainable investment - EU environmental taxonomy
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