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【EU】欧州議会本会議、EUタクソノミーで原発と天然ガスを厳しい条件の中で容認。異議動議を否決

 欧州議会は7月6日、EU気候変動タクソノミーに原子力発電とガスエネルギーを加えるEUタクソノミー委託法令に対し、異議動議を否決した。票数は異議に賛成278、異議に反対328、棄権33だった。異議には全体多数となる353人の賛成が必要だった。EU理事会が異議を可決しなければ、同委託法令は2023年1月1日に発効する。

【参考】【EU】欧州議会委員会、EUタクソノミーに原発・ガスを加える委託法令に異議。今後本会議採決(2022年6月1日)

 今回の委託法令は、原子力発電と天然ガスエネルギーに対し、期限を含めた厳しい条件を課している。具体的には、原子力発電に関しては、既存原発の寿命延長は2040年までの期限付き。第3世代+(日本では導入実績なしとみられる)は、2045年までの稼働という期限付き。第4世代(2030年代に実用化するとみられる)は、核燃料サイクルが閉じていれば条件に期限はないが、非常に高いハードル。

 別途、放射性廃棄物でも要件があり、低レベル放射性廃棄物の処分施設はすでに稼働していることが条件。かつ、高レベル放射性廃棄物の処分施設を2050年までに稼働させるための詳細な計画を策定していることが条件となっている。

 天然ガスでは、2030年までに天然ガスを使用する発電・熱プラントでは、ライフサイクル排出量基準として、100g/kWh未満が条件(再エネの大規模導入が難しい地域のみ、発電所からの直接排出量を270g/kWh未満または設備容量単位の排出量を550g/kWを条件に設定。但し、2035年までに燃料を天然ガスから再生可能ガスや低炭素ガスに完全に切り替えることが条件)。また、熱電併給と冷暖房では、上記の100g/kWhに加え、天然ガス使用施設を新設する毎に、同設備容量の石炭火力発電所を撤去することも条件となっている。

 EU理事会で、異議が成立しなければ、そのままの形で発効する。EU理事会での異議採択には、EU人口の65%以上を占める加盟国かつ20ヶ国以上が異議に賛成する必要があり、異議は採択されない見通し。

 現在の日本の原子力発電と天然ガスエネルギーの計画に関しては、いずれの要件も満たさず、サステナブルとはみなされないのが実情。

【参考】【EU】欧州委、EUタクソノミーで原子力と天然ガスに厳しい条件設定。今後、異議申立期間(2022年2月3日)

 欧州議会の合同委員会では、サステナブルエコノミーへの移行期間中でのエネルギーの安定供給のため、原子力発電及び化石燃料ガスが果たす役割を認識しつつも、EU気候変動タクソノミーに、原子力発電および化石燃料ガスを含める委託法令は、EUタクソノミー規則第3条の規定に反すると判断していた。今後、欧州司法裁判所(ECJ)での法廷闘争が始まる可能性が高い。

【参照ページ】Taxonomy: MEPs do not object to inclusion of gas and nuclear activities

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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