EU理事会は12月9日、EUタクソノミー気候委託法令に関する公式異議申し立て期間が満了した。すでに欧州議会でも10月に異議申立てをしないことを決めており、同委託法令が成立。2022年1月1日から本格適用されることが決まった。EUタクソノミー気候委託法令は、EUタクソノミー規則の下部規則で、気候変動緩和・適応に関する技術的審査基準(TSC)を規定しているもの。
【参考】【EU】欧州委、EUタクソノミー確定。ガスと原発は年内に最終判断。企業サステナビリティ報告指令も政策合意(2021年4月22日)
同委託法令は、欧州委員会で4月に決議。日本の政令に近い行政機関の決議のみで制定できる委託法令の成立手続では、欧州委員会での決定後、欧州議会とEU理事会に6ヶ月間の異議申立て期間が設けられており、異議を申し立てた場合に、委託法令の施行が無効となる。今回、欧州議会は期限内の10月までに異議を申し立てないことが決まったが、EU理事会では議論が紛糾し、異議申立て期間を延長。今回ようやく異議を申し立てないことが決まった。
4月に決定した同委託法令は、議論がまとまらなかった原子力発電とガス火力発電に関しては、一旦保留とし、12月16日の欧州理事会で議論をし、12月22日に欧州委員会が原案を固めることが計画されている。一旦、今回の基準では、気候変動の緩和に実質的に貢献する場合の基準は100gCO2e/kWh、著しい損害を与えるDNSH基準としては270gCO2e/kWhと設定した。
同委託法令が成立したことで、所定の年金基金や金融機関は、2022年1月から事業活動のタクソノミー適合性の報告が義務化され、2023年1月からは規定されたテンプレートに基づいたタクソノミー適合性の報告が義務化される。
今回の成立を受け、国連責任投資原則(PRI)は歓迎の声明を発表。同時に、今後議論が始まる原子力発電とガス火力発電に関しては、タクソノミーに含めるべきでなく、必要性が認められる場合には別ルールとして両者の取り扱いを規定すべきとする意見を披露した。11月10日にはポジションペーパーの形で、PRIとして同見解についての意見を伝えている。
欧州委員会は、気候変動適応・緩和以外の4つの環境テーマについては、別のEUタクソノミー環境委託法令の中で、技術的審査基準を規定する方針。今後議論を深める。また金融機関の開示に関しては、別の開示委託法令で詳細ルールを規定する。
【参照ページ】EU taxonomy - PRI welcomes adoption of first climate delegated act
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