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【国際】UNEP FIとFfB、ネイチャーポジティブのためのファイナンスで概念整理。3レベルに整理

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と生物多様性のためのファイナンス財団(FfB)は9月25日、金融機関がネイチャーポジティブを実現するための行動モデルをまとめたディスカッション・ペーパー「Finance for Nature Positive」を発表した。

 同ペーパーでは、2006年に発足した英生物多様性シンクタンク「バイオダイバーシティ・コンサルタンシー」が2015年に発表した「ミティゲーション・ヒエラルキー(緩和ヒエラルキー)」の概念を採用。ネイチャーポジティブに向けた優先順位として、「回避」「最小化」「再生」「オフセット」の4つ順番を採用している。

 次に、ネイチャーポジティブのためのファイナンスの定義について、世界銀行が2月に発表した文書に記された定義を採用した。

  • ネイチャー・インパクト緩和ファイナンス:世界銀行の環境・社会フレームワーク(ESF)及び国際金融公社(IFC)と多数国間投資保証機関(MIGA)のパフォーマンス・スタンダード(PS)に従い、自然への悪影響に対処するために実施される活動に対するファイナンス。
  • ネイチャー・ファイナンス:自然の喪失を食い止め、回復させるネイチャーポジティブ目標に貢献し、昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施を支援するファイナンス。
  • ネイチャーポジティブ・ファイナンス:ネイチャー・ファイナンスの下位分類として、生物多様性または生態系サービスに対し、通常シナリオと比較し測定可能なポジティブな成果をもたらす ことが期待されるファイナンス。
  • ネイチャー・メインストリーム・ファイナンス:ネイチャー・ファイナンスの下位分類として、ネイチャーポジティブ目標を達成するための実践に向けた、より広範な経済的移行(トランジション)を可能にすることが期待されるファイナンス。

 そして、緩和ヒエラルキーと、ネイチャーポジティブのためのファイナンスの4分類の関係性を整理した。その上で、発展の段階を3つのレベルで提示した。

  1. ネイチャー・インパクト緩和ファイナンスを通じ、緩和ヒエラルキーの遵守。
  2. ネイチャー・ファイナンスを通じ、昆明・モントリオール生物多様性枠組のための変革的アクションの実行。
  3. ネイチャー・ファイナンスを通じ、ポジティブインパクトを確保するための組織戦略とガバナンスの構築。

(出所)UNEP FI

 今回の文書では、緩和ヒエラルキーの優先順位を遵守しつつも、「回避」「最小化」と「再生」「オフセット」を同時並行で進めていく手法を提唱したことも大きな特徴。最終的にネイチャーポジティブ目標を達成するためには、バリューチェーンを変革するソリューションと同様に、生物多様性の保全と回復を支援しなければならないとし、2030年ネイチャーポジティブを実現するためには、同時並行で進めなければ間に合わないとの考えを披露した。

 具体的な目標設定としては、FfBが機関投資家向けに策定した自然関連の目標設定フレームワークと、国連責任銀行原則(PRB)が銀行向けに策定した自然関連の目標設定ガイダンスを採用するよう推奨した。

【参考】【国際】FfB、自然目標設定フレームワーク第2版発行。運用会社とアセットオーナー向け(2024年7月4日) 【参考】【国際】PRB、銀行向け自然分野目標設定ガイダンス発行。34社参画のワーキンググループが策定(2023年11月27日)

 さらに、ネイチャーポジティブのためのファイナンスを実行する上で、4つのベストプラクティスの実施も推奨した。具体的には、積極的な役割を果たすことを前提とし、ファンドのトレーサビリティを確保しながら、ポジティブインパクトへの貢献をモニタリングし、目標と組織戦略を取締役会で承認するというもの。

 今後に向けた検討課題では、「測定・開示・データ」「自然保全及び再生ファイナンスに対する障壁の撤廃」「方針及びセクター別変革パスウェイ」の3つを挙げた。

【参照ページ】UNEP FI and Finance for Biodiversity Foundation Unveil New Finance for Nature Positive Working Model in Groundbreaking Discussion Paper

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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