
欧州委員会は12月3日、ネットゼロ技術、電気自動車(EV)バッテリー製造、再生可能水素製造に対する助成金申請募集を開始した。総額46億ユーロ(約7,300億円)を拠出する。
今回の助成金制度は、EUの温室効果ガス排出量削減目標や再生可能エネルギー目標を達成するために、EU二酸化炭素排出量取引制度(EU-ETS)からの400億ユーロ(約6.3兆円)の収入を活用したイノベーション基金を財源としたもの。2023年には、バイオマスエネルギー以外の再生可能エネルギーを「非バイオ起源再生可能エネルギー(RFNBO)」を活用した再生可能水素オークションを実施している。
【参考】【EU】改正再エネ指令とReFuelEU Aviation規則が成立。再エネ2030年に42.5%以上に(2023年10月15日)
【参考】【EU】欧州委、再生可能水素オークションの入札基準発表。RFNBOに限定。11月23日開始(2023年9月20日)
ネットゼロ技術向けの助成金は、総額24億ユーロ。種々の脱炭素化プロジェクトや、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、ヒートポンプ、水素製造のための部品製造を対象とし、一般公募する。審査では、温室効果ガス排出削減の可能性、イノベーションの度合い、プロジェクトの成熟度、再現性、コスト効率で評価される。さらに、EU加盟国が選定案件に追加で補助金を支給する「Grants-as-a-Service」制度も、イノベーション基金の案件で初めて適用される。
EVバッテリー製造向けは、今回が初実施で総額10億ユーロ。革新的なEVバッテリーセルを製造したり、革新的な製造技術、プロセス、テクノロジーを導入したりするプロジェクトが対象となる。欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)は同日、イノベーション基金からInvestEUプログラムに2億ユーロの上乗せ融資保証を提供することも発表。加えて、EIBは、EVバッテリー関連企業に総額18億ユーロを追加融資していく計画。これらの合計で約30億ユーロの公共支援を行う。
再生可能水素製造向けでは、昨年に続き、第2回オークションを実施。昨年から4億ユーロを追加し総額12億ユーロを用意した。このうち2億ユーロは海運燃料向け。また、オークションに入札したものの、予算の制限によりイノベーション基金の支援対象には選ばれなかったプロジェクトに、EU加盟国が資金を提供できるようにする「Auctions-as-a-service」制度も導入する。これにより、EU加盟国は、国レベルで個別にオークションを実施することなく、自国の資金を使って自国内のプロジェクトを支援することができるようになる。すでに、スペイン、リトアニア、オーストリアが、今年のAuctions-as-a-Serviceへの参加を発表し、最大8億3,600万ユーロの国家資金を拠出することを表明している。昨年はドイツが3.5億ユーロを同スキームで拠出した。
イノベーション基金は、すでに累計で、200以上のプロジェクトに約120億ユーロ(約1.9兆円)を拠出している。さらに、今回の3つの公募では、欧州を単一の供給者への依存から守るための特定のレジリエンス基準も盛り込まれている。
【参照ページ】Commission earmarks €4.6 billion to boost net-zero technologies, electric vehicle battery cell manufacturing and renewable hydrogen under the Innovation Fund
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