
欧州委員会は3月19日、3月4日に開催された「鉄鋼対話」の協議も踏まえ、鉄鋼・金属アクションプランを発表した。3月5日に発表した自動車産業アクションプランに続き、セクター別産業政策を固めた。
【参考】【EU】欧州委、自動車産業アクションプラン発表。自動運転開発やEV導入促進を強化(2025年3月6日)
【参考】【EU】欧州委、「クリーン産業ディール」発表。再エネ・電化拡大。低炭素素材需要も喚起(2025年2月28日)
今回策定したアクションプランでは、鉄鋼・金属セクターは、高いエネルギーコスト、不公平な国際競争、温室効果ガス排出削減のための投資の必要性等の課題を抱えており、重大な転換点にあると認識。クリーン産業ディール政策、及びアフォーダブル・エネルギー行動計画を基にしつつ、今後の方向性を主に6つ設定した。
まず、生産コストの多くを占めるエネルギーコストを抑制するため、電力購入契約(PPA)の利用を促進。再生可能な低炭素水素の利用拡大も支援しにいく。EU加盟国に対しては、エネルギー税や系統利用コストの引下げを推奨する。
さらに、リサイクルを促進することが、温室効果ガス排出量とエネルギー使用量の双方を削減する上で有効とし、鉄鋼とアルミニウムのリサイクル目標を設定しにいく。加えて、建設資材や電子機器等のリサイクル要件や再生材含有要件を設けるべきか否かも評価する予定。電炉製鉄に不可欠な金属スクラップを十分に確保するための貿易措置を検討する。
カーボンニュートラルの促進では、制定中の「産業脱炭素化促進法」により、公共調達にサステナビリティとレジリエントに関する要件を課すことで、EU産の低炭素金属への需要を高め、主導的な市場を創出する。欧州委員会は、2026年から27年に、石炭・鉄鋼研究基金を通じ1億5,000万ユーロを、さらにHorizon Europe予算から6億ユーロをクリーン産業ディールに割り当てる。量産段階に対しては、イノベーション基金等を活用し、産業脱炭素化銀行を通じた資金動員目標を1,000億ユーロとし、2025年には、主要な産業プロセスの脱炭素化と電化で10億ユーロの試験的オークションを実施する。
炭素リーケージへの対処では、炭素国境調整メカニズム(CBAM)を引き続き柱とする。2025年第2四半期には、EUから第三国へ輸出されるCBAM製品の炭素リーケージの問題に対する通達を実施。さらに、2025年末までに、CBAMの適用範囲を特定の鉄鋼およびアルミニウムをベースとする川下製品に拡大し、追加的な迂回防止措置を盛り込んだ最初のEU法案も提出する予定。
不公平な国際競争への対処では、世界の過剰生産能力の脅威に対抗するため、現行の鉄鋼セーフガード措置が2026年半ばに失効した後も、EUの鉄鋼部門を新たな長期措置を提案する予定。また、輸出事業者が貿易防衛措置を回避することを防ぐため、欧州委員会は、金属製品の原産地を決定するための「溶融注湯ルール」の導入についても評価する。
雇用・スキル開発では、同セクターEU域内約260万人の直接・間接雇用を守るため、クリーン産業ディールの一部である欧州公正移行(ジャストトランジション)監視機関と、質の高い雇用ロードマップを通じ、雇用への影響を監督し、労働者の権利が確実に守られるようにする。
欧州委員会は同日、「欧州防衛白書(レディネス2030)」と、再軍備に向けた防衛パッケージを発表。防衛政策の実現のためにも、鉄鋼・金属アクションプランを重要としている。また同日、「金属セクターのためのトランジション・パスウェイ」文書も発行している。
【参考】【EU】欧州委、EU再軍備で130兆円動員へ。安全保障への危機感。欧州理事会で議論(2025年3月5日)
【参照ページ】Commission's Action Plan to secure a competitive and decarbonised steel and metals industry in Europe
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