
欧州委員会は6月13日、原子力発電投資需要に関する新たな見解を示した。2050年までに2,410億ユーロ(約43兆円)の追加投資が必要との調査結果を伝えた。
欧州委員会は、欧州原子力条約第40条に基づき、労働組合やNGO等で構成される諮問機関の欧州経済社会評議会(EESC)の意見も踏まえ、調査報告書「PINC(Programme Illustrative Nucleaire)」を一定期間毎に策定している。最初の発行は1958年。第7次PINCの発行は2017年で、今回8年ぶりに第8次PINCの原案が発表された。今後EESCの意見を踏まえ最終版が公表される。
EUでは現在、EU加盟12か国に原子力発電機が101基、合計98GWの設備容量がある。2023年のEU電力供給の約23%を占めている。
第8次PINCは、前回の発行以来、EUのエネルギー及び原子力分野の情勢は、脱炭素化戦略の強化、地政学的な動向、競争力、手頃な価格、供給の安定性、イノベーションへの重点強化を背景に大きく変化したと説明。特に、小型モジュール炉(SMR)、先進モジュール炉(AMR)、マイクロリアクター、及び長期的な将来に向けた核融合技術に関する追加投資が必要と判断した。
将来の見立てでは、2040年までにEUの電力の90%以上がゼロエミッション型となり、再生可能エネルギーが主力の中、原子力エネルギーも補完する役割を果たすとした。EU全体の原子力発電設備容量は、2025年の98GWから2050年までに約109GWに増加すると見通した。またそのためには、既存の原子力発電の寿命を70年から80年に延長しつつ、約60GWの新設が必要となるとした。
同報告書によると、今後の投資額は、新設が2,050億米ドル、寿命延長が360億米ドル。AMR、SMR、核融合等への技術開発投資も含まれる。核燃料サイクルについては、ウラン採掘と加工でロシア等への依存度を低減させることが急務とした。
原子力政策については、EU加盟国間で相違があるため、PINCでは各加盟国の政策を積み上げて、EU全体の方向性としている。EU加盟国は、第8次PINCに関して、6月16日のEU理事会で協議する。
【参照ページ】Commission assesses nuclear investment needs by 2050 in view of decarbonisation and competitiveness goals
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