Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の97%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【EU】EEA、たんぱく質供給多様化で報告書。食料安全保障、環境負荷低減に寄与

【EU】EEA、たんぱく質供給多様化で報告書。食料安全保障、環境負荷低減に寄与 2

 欧州環境機関(EEA)は6月22日、欧州のたんぱく質供給と消費の多様化に関する報告書を発表した。欧州で生産・消費されるたんぱく質源の幅を広げることで、食料安全保障、レジリエンス、競争力の強化に加え、環境負荷の低減にも繋がると表明した。

 EUの成人のたんぱく質摂取量は、平均で1人1日当たり80gから85g。多くの人口集団で必要量を上回っており、動物由来製品が総たんぱく質摂取量の約60%を占める。EEAは、十分な栄養を維持しつつ、たんぱく質源の構成を再調整する余地があると指摘した。

 欧州の現行のたんぱく質システムは、環境面で大きな負荷を伴う。EUでは、畜産が農業由来の温室効果ガス排出量の65%以上を占め、放牧と飼料生産を合わせると農地の半分超を使用している。畜産と肥料使用に伴う窒素は、水質汚染や富栄養化の要因となっており、2023年のEUのアンモニア排出量の約94%は農業由来だった。微小粒子状物質による大気汚染の主要因にもなっているという。

 飼料輸入への依存にも課題がある。EUは畜産で使用する高たんぱく質飼料の約3分の2を輸入しており、供給元はブラジル、アルゼンチン、米国等の少数国に集中している。大豆輸入量は年約3,000万tで、大半が動物飼料向け。南米の一部地域では、大豆生産拡大が森林破壊や生物多様性喪失と関連しているとした。

 同報告書では、たんぱく質多様化を畜産の代替ではなく、欧州のたんぱく質供給・消費構造の段階的な再調整と説明。粗放的な草地放牧は、生物多様性保全や景観管理に寄与する場合があり、欧州の保護対象生息地の約3分の1は放牧に依存している。そのため、たんぱく質の多様化は、持続可能な畜産システムの推進や農村地域の生計・地域経済の保護と並行して進める必要があるとした。

 多様化の経路としては、豆類等の植物性食品、植物性の肉・乳製品代替品に加え、昆虫、バイオマス発酵、精密発酵、培養肉を挙げた。これらは技術成熟度、環境性能、経済性、社会的受容性が異なる。EEAは特に植物性たんぱく質について、生産システムや市場が既に確立し、消費者にも比較的なじみがあるため、温室効果ガス排出量、窒素汚染、土地利用圧の削減に向けた即効性が高いと評価した。

 経済面では、代替たんぱく質の世界消費量が2035年までに7倍超に拡大する可能性があり、植物性タンパク質市場だけでも2025年の約240億米ドルから2030年には350億米ドルへ成長する見通しと分析。欧州は、植物性食品、発酵由来たんぱく質、持続可能な飼料原料等の高付加価値分野で競争力を発揮できる可能性があるとした。

 さらに、欧州委員会共同研究センター(JRC)のモデリングでは、多様なたんぱく質源への協調的な移行により、輸入飼料への依存を低減し、2035年までにEUの農業由来温室効果ガス排出量を約5%削減できる可能性が示された。EEAは、EUの農業・食料ビジョンで方向性が示されたEUたんぱく質戦略について、環境上の完全性確保、輸入飼料依存の低減によるレジリエンスと戦略的自律性の強化、公正な移行の支援の3点を優先事項に掲げるべきとの見方を示した。

【参照ページ】Diversifying Europe’s protein supply could cut emissions and reliance on imported feed

無料会員に登録すると、
有料記事の「閲覧チケット」を毎月1枚プレゼント。
登録後、すぐにご希望の有料記事の閲覧が可能です。

※ 閲覧チケットは翌月への繰り越しはできません。

無料登録してチケットを受け取る

【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら

または

有料会員プランで
企業内の情報収集を効率化

  • 2000本近い最新有料記事が読み放題
  • 有料会員継続率98%の高い満足度
  • 有料会員の役職者比率46%
有料会員プランに登録する
author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。