【国際】アパレル世界大手250社のサステナビリティ評価。首位H&M。日本7社は上位に入れず

　英アパレルNGOは4月20日、アパレル大手250社を対象としたサステナビリティ・ランキングを発表。日本企業では7社が対象となったが、いずれも上位に入れず、特に5社は大きく低迷した。

　今回のランキングは、ファッションレボリューションが発表した「ファッション・トランスペアレンシー・インデックス（FTI）」。同NGOは、2013年4月24日にバングラデシュの縫製工場「ラナ・プラザ」の崩壊で1,133名が亡くなった事故を受けて設立。現在100か国以上に支部を持つ。毎年4月24日を含む1週間を「ファッションレボリューション・ウィーク」と位置づけ、啓蒙キャンペーンを展開している。

　今回発表されたのは、今年で5年目となる「The Fashion Transparency Index 2020」。年間売上4億米ドル（約430億1,500万円）以上のアパレル大手250社を対象に、「社会的・環境的責任に対する企業ポリシーとそのコミットメント」、「ガバナンス」、「トレーサビリティ（生産過程や材料などの追跡可能力）」、「人権・環境デューデリジェンスの認識・提示・改善」、「倫理的諸問題に対する取り組み」の5つの観点から、220の指標を基に情報の開示度を審査し、算出スコアをパーセンテージで提示した。

　日本企業では、ファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス（イトーヨーカ堂）、アシックス、ミズノ、良品計画（無印良品）、ユナイテッドアローズ、トップバリュコレクション（イオン）の7社が対象となった。

　ランキング首位は、H&Mで最高スコア（73%）を獲得。昨年の4位から首位となった。次いでC&A（70%）、アディダス・リーボック（69%）、エスプリット（64%）、パタゴニア、マークス&スペンサー（60%）、ザ・ノース・フェイス、ティンバーランド、ヴァンス、ラングラー（59%）、プーマ（57%）、ASOS（55%）、NIKE、ジョーダン、コンバース、ベネトン（55%）、カルバンクライン、トミーヒルフィガー、バン・ヒューゼン（54%）と続いた。

　日本企業では、アシックスが46%、ファーストリテイリングが40%と中盤に入ったが、それ以外は、ミズノが27%、セブン&アイ・ホールディングスが21%、トップバリュコレクションが19%、良品計画が10%、ユナイテッドアローズが7%と低迷した。

　250社の平均スコアは23%で、昨年から2%の増加。ただしこの「平均スコア23%」にはファッションレボリューションへの調査に対応しなかった企業も含まれており、回答率が100%だった企業における平均は35%だった。

　同NGOはアパレル業界全体で情報の開示度が低いことを指摘し、特にファーストリテイリング、GAP、ウォルマート等は他の高評価企業に比べて2017年以降大きな進捗が見られないとし、取り組みを強化するよう促した。

　また、ファッションレボリューションは公開する情報の「質」にも喚起する。同NGOによると、大手ブランドの78%はエネルギーの使用や二酸化炭素排出量に関する企業ポリシーを開示しているものの、2℃目標に整合性のある科学的根拠に基づいたデータを開示するブランドは16%と指摘。またサプライチェーンにおける年間の二酸化炭素排出量を開示しているブランドも全体の16%のみ。サステナブルな取り組みに向け、具体的で包括的な情報を開示するよう呼びかけた。

　一方、新型コロナウイルス・パンデミックの影響でも、米ロサンゼルスだけで45,000人の従業員が補償なく休業していると言及し、アパレルブランドは、社会的信頼を確保できるか否かという重要な局面を迎えていると善処を促した。

【参照ページ】Fashion Transparency Index 2020

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所