ドイツ政府は6月10日、二酸化炭素排出量削減の一環として、水素の生産と使用を増やすための長期戦略を閣議決定した。現行の水素生産は化石燃料の改質で生産される「グレー水素」だが、再生可能エネルギー電力で水を電気分解する「グリーン水素」で水素を生産する姿勢を明確にした。
今回の発表では、2030年までに水素生産設備能力を5GWまでに引き上げる。用途は燃料電池自動車(FCV)だけでなく製鉄や化学工場での熱用途にも言及した。投資額は90億ユーロ(約1.1兆円)。そのうち70億ユーロは国内向けで、残りの20億ユーロはモロッコ等発展途上国での水素プロジェクト向け。
ペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相は、今回の戦略はドイツが水素技術で世界一となるための道筋を示したと語った。さらに水素は、GDP向上、雇用創出、気候変動緩和を同時に実現するものと位置づけた。
ドイツ政府は今回、同戦略の下で実施する支援の方向性も明らかにした。具体的には、グリーン水素を生産するための再生可能エネルギー電源の増設に向けEUの再生可能エネルギー指令の大胆な遂行、電気分解技術や幅広い用途での水素使用の促進、研究キャンペーン「水素技術2030年」の展開、水素生産コストや工業プロセスへの投資・助成金、必要インフラの強化、グリーン水素製造事業者への再生可能エネルギー課徴金の免除等のため州政府政策のレビュー、グリーン水素推進のための国際協調。
また同時に、関係閣僚と教育研究省のイノベーション担当コミッショナーで構成する「国家水素会議」を設置することも明らかにした。
スベ―ニャ・シュルツェ環境相は、水素戦略は、気候緩和と新型コロナウイルス経済復興を追求するものになると信じていると表明。ドイツ政府は、すでにグリーンリカバリーとしすでに洋上風力発電を2040年までに40GW新設する計画も表明している。
【参考】【ドイツ】政府、2040年までに洋上風力発電を40GW新設を閣議決定。再エネ比率拡大に向け(2020年6月7日)
【参照ページ】German government adopts hydrogen strategy
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