現在世界では国際的な業界団体が中心となり様々な業界で独自のサステナビリティ基準の策定が進められているが、11月は新たに牛肉の持続可能性に関する原則および基準が誕生した。
オランダに本部を置く、牛肉のバリューチェーンに関する国際イニシアチブのGRSB(The Global Roundtable for Sustainable Beef:持続可能な牛肉のためのラウンドテーブル)は11月3日、持続可能な牛肉の定義およびその生産活動のための国際的な「原則と基準」(”Principles and Criteria”)を公表した。GRSBは牛肉食品のサプライチェーンに関わらるグローバル企業らと協働しながら1年半の検討を重ね、持続可能な牛肉食品の生産と配達に関する主要原則を定めた。
GRSBが定めた原則は、?天然資源、?地域住民とコミュニティ、?牛の健康と福利、?食品、?効率と革新、の5つを核としている。またGRSBはグローバルに広がる牛肉バリューチェーン全体においてこの原則が浸透するよう、以下の4項目が優先的に考慮されている製品を「持続可能な牛肉」であると、簡潔な定義を提示している。
- 地球(関連原則:天然資源、効率と革新、人々と地域社会)
- 地域住民(関連原則:地域住民とコミュニティ、食品)
- 牛(関連原則:牛の健康と福利、効率と革新)
- 発展(関連原則:天然資源、地域住民とコミュニティ、牛の健康と福利、食品、効率と革新)
GRSBで常任理事を務めるRuaraidh “Rory” Petre氏は「持続可能な牛肉のための原則と詳細な基準を定めるのは困難な作業だった。牛肉のグローバルチェーンのサステナビリティ向上に向けた確かな筋道を示してくれたメンバー企業や団体を賞賛する」と語った。
今回の「原則と基準」を定めるにあたり、多くのNGO団体、市民団体、牛肉加工企業、関連産業、地域における会議などからの意見も取り入れられており、GRSB総会メンバーの96%以上の賛成が得られたという。また、総会を構成する生産者、流通と加工、小売、市民団体、地域および国際会議の5つの部門全ての賛成票を獲得したとのことだ。
GRSB議長を務めるCameron Bruett氏は「今まで漠然としていたサステナビリティについての議論が、GRSBの定義により明確なものになる。この”Principles and Criteria”が、牛肉のサステナビリティについて明瞭な議論を行い、継続的な改善に向けた次のステップを特定する手助けとなることを期待している。それが成功すれば、我々の生産活動、製品、そして社会への貢献に対する消費者からの信頼を獲得することにつながる」と述べた。
Bruett氏によれば、「GRSBにとっての次のステップは地域および国際会議において改善や効率化が実現できる分野を特定することだ。GRSBの活動はどの地域や国おいても牛肉生産に関する規格または規則を創ることを目的としているわけではない」という。また、同氏は「それぞれの地域特有の課題に対し、各地域に焦点を絞ったソリューションを特定すること。地域の産業、エコシステム、コミュニティに力を与え、各地域、ひいてはグローバルにおいて意義のある結果を達成する手助けをすることが、我々の目指す活動だ」と語った。
【原則と基準】Principles and Criteria
【団体サイト】The Global Roundtable for Sustainable Beef (GRSB)
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