ビッグデータの活用は、コスト削減とサステナビリティを同時に実現する大きな可能性を秘めている。この分野で先進的な成果を挙げているのが、ゼネラル・エレクトリック(以下、GE)だ。GEのMonitoring & Diagnostics Center(以下M&D)では、毎日1,500以上のガスタービンや電力生成装置から30,000時間分以上のデータを収集し、40テラバイト、1億時間以上に相当するデータベースを構築している。GEはこのビッグデータを活用し、2014年には顧客に対して7000万米ドルのコスト削減をもたらしたと報告した。コスト削減額は2013年の5390万米ドルから大きく跳ね上がった。
米国アトランタにある工場では、50人以上のエンジニアが毎年35,000以上の操作上の警告を分析しており、コンプレッサーの低い温度、ガスタービンの温度の状態、排気の温度、燃焼システムのダイナミックな状況、ローターの振動の度合い、ベアリングの温度などをセンサーでモニタリングし、電力生成に関するビッグデータを収集している。GEのガスタービン装置には物理的変化を感知するセンサーが100以上、視覚的変化を感知するセンサーが300以上配備されているという。
「我々のモニタリング・診断(M&D)チームは、GEの顧客の発電所での高いパフォーマンスや信頼性のために助けを行う重要な役割を担っている。」とGE’s Power Generation Services businessにてゼネラルマネジャーを務めるJustin Eggart氏は語る。さらに、「我々のチームは『予測メンテナンス』と呼ばれるホリスティックなアプローチをとっている。顧客が操作する装置の種類に関わらず、問題が起こる前にその芽を取り除くことに焦点を当てている」と付け加えた。
問題を未然に予測・予防する能力は「予測メンテナンス」の重要な部分だ。GEの顧客向けの予測ソリューションは世界最大級のガスタービンのモニタリングから収集、分析された大量のデータを活用しており、顧客のより十分な情報に基づく意思決定を可能にしている。
GEのM&Dチームはこれまで解決してきた数千以上の事例を基に150以上の潜在的な失敗メカニズムを早期に警告する独自アルゴリズムを構築しており、この統計的な手法に基づく理学的アプローチがM&Dチームがアルゴリズムを継続的に改善することを可能にし、誤った警告を減少させつつ問題発見の可能性を高めることに成功している。
M&Dセンターは、2014年現在で世界58か国、500を超える顧客に対してサービスを提供しており、24時間365日のサポートを通じて顧客が必要な発電量を安定的に確保することを支援している。また、GEはM&Dの施設のあるスコットランド、フランス、インド、ドバイ、サウジアラビア、中国から地域別の追加サポートも提供しており、幅広い分析ツールを使用することでセンサー誤作動からコンプレッサーの損傷まで幅広い問題の診断を行っている。
センサーを活用してビッグデータを収集し、ビッグデータを活用した予測ソリューションにより顧客のコストを削減とサステナビリティを支援しているGEの取り組みは全世界で大きなインパクトをもたらしている。同社のようにビッグデータを活用した電力効率化や利用量削減などのサステナビリティソリューションは今後も非常に発展が期待される分野の一つだ。最先端のテクノロジーを活用してどのようにサステナビリティを実現するのか、大手企業、スタートアップ企業を問わず、世界中で新しい取り組みが続々と始まっている。
【参照リリース】GE’s Monitoring & Diagnostic Center: Turning Fleet Knowledge into Action Saved $70 Million in 2014
【企業サイト】General Electric Company
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