今や「ハイテク」という言葉は携帯電話やコンピューターだけに使われるものではなくなった。多くの産業において、最前線にとどまるためには革新的なテクノロジーが必要不可欠となっている。それが特に顕著なのが食品産業だ。今や食品業界は増加しつづける世界人口の需要を満たすための画期的なイノベーションのニュースで溢れており、投資家らも食品業界や農業の常識を変える破壊的なテクノロジーに群がっている。
"Advance Protein Powder"(以下、APP)という栄養価の高い海洋由来のプロテインパウダーもそれらの注目すべきイノベーションの1つだ。APPを開発したのはカリフォルニア州のベイエリアに拠点を置くスタートアップ企業のアドバンス・インターナショナル(以下、AI)社で、同社は世界で初めて持続可能な魚類から100%天然由来で無味無臭のタンパク質を製造する技術を開発し特許を取得した。
以前から魚類タンパク質は乳清や大豆よりも優れたタンパク質であることは分かっていたが、その強い味と匂いがネックとなり、これまで飼料や食品用には使用されてこなかった。しかし、それらの課題を克服したAPPは、Non-GMO(遺伝子組み換え食品ではない)でコレステロールフリーの製品として肉やヘルスケア製品を代替し、ヘルス・フィットネス業界に多大な影響をもたらす可能性を秘めている。
AI社のCEOを務めるMazi Ghorbani氏は「AIは、食品業界の多くの大企業が実現できなかった、応用性があり大量生産可能な破壊的なテクノロジーを開発した。革新的な製薬のプロセスと食品業界のより経済的な製造手法を利用することで、国際的に適用可能でカーボン・フットプリントも抑制できる製造プロセスを生み出した。また、豊富に生息する魚類や一般的に廃棄される魚類の一部を活用することでほぼ廃棄物ゼロを実現している」と語った。
プロテインパウダーの市場規模は全世界で250億米ドルを超えているが、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストらは現在のプロテイン市場で供給されている製品は未だ不完全であることを理解している。Fernandez-Cornejoが2012年に実施した研究によれば、米国で生産される大豆の約93%が遺伝子組み換えとなっている。また、家畜の飼料に含まれている殺虫剤や除草剤については触れられないように、それらの飼料を食べた家畜からできた乳清製品には人工成長ホルモンや抗生物質が含まれている。それでも未だに、動物性タンパク質は人体に必要なアミノ酸が多く含まれている完璧なタンパク質だと考えられているのだ。
それに対してAIは、植物性タンパク質よりも多くのアミノ酸を含み、動物性タンパク質よりも健康かつ安全で、従来の欠点であった匂いや味も克服した魚類タンパク質のAPPこそが巨大な食品サプリメント市場をひっくり返すものだと信じている。
今後AIは先進国向けのプロテイン販売していく一方で、人道支援の一環としてUSAIDやUNICEFが栄養失調の慢性化地域で支給している小分けした1日分のタンパク質製品にもAPPを展開していく予定だ。
APPを開発したAI社のように、米国ではサステナビリティ・イノベーションが多くのスタートアップ企業にとっての主たる事業テーマとなりつつある。大企業にはできない革新的なテクノロジーによってどのように世界のサステナビリティ課題に対処していくのか、今後もサステナビリティ分野のスタートアップ企業からは目が離せない。
【企業サイト】Advance International Inc.
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