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【国際】2050年までに、海洋には魚よりも廃棄プラスチックのほうが多くなる

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 世界経済フォーラムと循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団は1月19日、ナレッジパートナーのマッキンゼー&カンパニーの協力のもと、持続可能な循環型のプラスチック生産・消費の実現に向けた報告書、"The New Plastics Economy: Rethinking the Future of Plastics"を公表した。同報告書は、「循環型経済」という新たな経済システムに基づき、現在のプラスチック包装の世界全体におけるライフサイクルの現状を初めて包括的に分析したもので、プラスチック廃棄をゼロにするというビジョンおよびそのための具体的な方策についても提示されている。

 同報告書によると、現在世界のプラスチック包装のほとんどが一回限りの使用で廃棄されており、結果として年間800億米ドル~1,200億米ドルに相当するプラスチック包装素材の価値の95%が失われていることが分かった。

 また、過去半世紀で世界のプラスチック使用量は20倍に増加しており、さらに使用量は今後20年間で2倍に増える見込みで、現状のペースでプラスチック廃棄が増加し続ける場合、2050年までに世界の海へのプラスチック廃棄量は魚類の量よりも多くなることも分かった。

 こうした危機的な現状に対して、同報告書の中では"The New Plastics Economy"というプラスチックを取り巻く新たな世界経済システムの構想が提示されている。同構想は、プラスチックおよびプラスチック包装のライフサイクルを根本的に見直し、循環型の生産・消費を目指すものだ。プラスチック包装の初回使用後の新たな使途の創造、海洋など生態系へのプラスチック流出の大幅な削減、プラスチック生産に必要となる天然ガスと原油に代わる代替原料の発見・開発などに焦点があてられている。

 世界経済フォーラムの官民パートナシップの最高担当者を務めるDominic Waughray氏は、「この報告書はプラスチック産業のエコシステムに革命を起こすことの重要性を示しており、経済におけるプラスチックの流れを移行する方法を提示する最初の一歩となる。洞察を大規模な行動を起こすためには、各アクターの協働なしに実現できないことは明らかだ。官民、そして市民社会の全員が新たな循環型のプラスチック経済という機会を捉えるために力を結集する必要がある」と語った。

 プラスチックの大量生産・大量廃棄は、経済的損失に加えて、原材料となる資源の制約や廃棄による海洋汚染など、様々な課題を引き起こしている。今や我々の生活のいたるところで使用されているプラスチック包装が、見えないところで地球に対して大きな負荷を生んでいるのだ。

 プラスチックに関する取り組みとしては、アディダス社の海洋廃棄プラスチックを使用したシューズ開発や、コカ・コーラ社などによる植物性由来プラスチックボトルの開発など様々な取り組みが進められているが、今後はそうした個別企業の取り組みに加え、政府や消費者も協働していかに循環型の持続可能なプラスチック生産・消費サイクルを実現できるかが問題解決の上で鍵を握っている。

【レポートダウンロード】The New Plastics Economy: Rethinking the Future of Plastics
【プレスリリース原文】More Plastic than Fish in the Ocean by 2050: Report Offers Blueprint for Change
【団体サイト】World Economic Forum
Ellen MacArthur Foundation

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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