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【中央アフリカ】内戦関与の同国産「紛争ダイヤモンド」、カメルーン経由で国際市場で流通

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 紛争ダイヤモンド分野で活動するカナダNGOのパートナーシップ・アフリカ・カナダ(PAC)は12月2日、中央アフリカで内戦の資金源となっているダイヤモンド原石が、紛争ダイヤモンドの流通を防止する国際枠組み「キンバリープロセス」内の国であるカメルーンに密輸され、カメルーンから「紛争フリーダイヤモンド」として世界に流通してしまっていると報告した。中央アフリカは2013年に発生した内戦により、キンバリープロセスへの参加を停止。今年に停止措置が部分的に解除されたが、基本的には今も中央アフリカ産のダイヤモンド原石はキンバリープロセスのもとでは流通できないこととなっていた。

 内戦の資金源として活用されるダイヤモンド・ビジネスは、「血のダイヤモンド(Blood Diamond)」と呼ばれ、2000年代から国際的な関心が高まっている。最近では、米国ドッド・フランク法で「紛争鉱物(Conflict Mineral)」という単語が生まれたことから、ダイヤモンド分野でも同様に「紛争ダイヤモンド(Conflict Diamond)」と呼ばれることが多くなっている。

 パートナーシップ・アフリカ・カナダは同分野で有力なNGOで、2003年にキンバリープロセスが立ち上がった際にも創設メンバーとして大きく貢献。共同創設メンバーである英国NGOのGlobal Witnessとともにノーベル平和賞の受賞候補にも上がっている。パートナーシップ・アフリカ・カナダは、1980年代にカナダでダイヤモンド鉱山が発見され、カナダでもダイヤモンド取引の問題がクローズアップされる中、1986年に設立。カナダでだけでなくダイヤモンドの世界的産地であるアフリカにも焦点を当て、国際的なダイヤモンド取引の枠組み作りを目指している。

 パートナーシップ・アフリカ・カナダが設立に大きく貢献した「キンバリープロセス」そのものは、ダイヤモンド流通のカギを握るアフリカ諸国からの参加を得たものの、アフリカ諸国政府の取締が徹底していないことを背景に、実効性が疑われ始め、ついに2011年には設立メンバーであるGlobal Witnessが「キンバリープロセスは失敗に終わった」とキンバリープロセスからの脱退を表明。近年でもとりわけジンバブエ産のダイヤモンドには問題が多いことが度々指摘されている。一方、パートナーシップ・アフリカ・カナダは今もキンバリープロセスに残り続け、同プロセスの立て直しに尽力している。

 パートナーシップ・アフリカ・カナダの報告によると、中央アフリカ産のダイヤモンド原石は、900kmに及ぶ国境線を共有する隣国カメルーンに密輸組織により持ち込まれ、そこで「キンバリープロセス」に基づく証明を得、世界中に販売されているという。パートナーシップ・アフリカ・カナダは、カメルーンの国境警備では汚職が蔓延しており、国境監視体制が体をなしていないとカメルーン政府を強く避難している。同報告では、カメルーンでは同国のダイヤモンド原石産出量である毎月250カラットを優に超える量の取引がなされていることが、中央アフリカ産ダイヤモンドがカメルーンに流入していることを裏付けているとしている。

 同NGOは今後の対策として、カメルーン政府に対して法的対策の強化を求めるとともに、キンバリープロセスに対し密輸業者や関与者を特定し取引から排除していくための「地域アプローチ」の設立を要望した。地域アプローチでは、今回の事案当事国である中央アフリカとカメルーンに加え、隣国のコンゴ基共和国、コンゴ民主共和国、アンゴラも対象に加えるべきだとした。

 同時にパートナーシップ・アフリカ・カナダは、ダイヤモンド流通企業、加工企業、購入企業に対し、キンバリープロセスのみに安住せず、実効性のある規制を強化を企業自身が実施していくことを要望した。ダイヤモンドは、宝石としてだけでなく、工業製品の原料としても使われており、工業製品に使われる世界のダイヤモンド原石のシェアは50%弱とも言われている。日本の製造業でもダイヤモンドを含む部材や工具を扱うところはあり、独自の対策が求められる。 

【参照ページ】Conflict Diamonds from CAR Entering International Markets via Cameroon

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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