環境省は5月8日、「環境報告ガイドライン」の改訂案を公表。パブリックコメントの募集を開始した。同ガイドラインは2005年に策定し、最後の改訂は2012年。その後、国際的な報告フレームワークの進化や、国連持続可能な開発目標(SDGs)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の動きに鑑み、今回の改訂を目指している。
今回の改訂では、GRI等の国際的なガイドラインやスタンダードとの整合性を意識し、網羅的な報告から重要度(マテリアリティ)の高さに応じた優先順位をつけた報告へと重点を変えた。また、事業者の個々の状況に応じ、報告の自由度を高めるため、ガイドライン自体はコンパクトなものになっている。報告内容についても、過去の環境データ開示に加えて、ガバナンスやリスクマネジメント、経営戦略等、将来のマネジメントに関するものも加えた。
さらに今回、環境保全のためのコスト等を貨幣単位で定量的に認識・測定・伝達するという「環境会計ガイドライン2005年版」の考え方を、環境報告ガイドラインに取り込もおうとしている。環境省は、中堅企業にも同ガイドラインを参照してもらえるよう内容をコンパクトにしたが、金額換算開示は容易ではなく、この点は逆に活用への足踏みとなりそうだ。
環境報告ガイドラインは、2005年の策定時こそ大企業を中心に参照されたが、その後国際的なフレームワークが浸透するにつれ、参照されなくなってしまった。今回の改訂を機に、どこまで復権できるか。さらには日本独自基準を復権させる必要があるのか。関心のある方は、環境省のパブリックコメントに協力して頂きたい。
【参照ページ】環境報告ガイドライン2018年版(案)に対する意見の募集について
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