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【アメリカ】連邦最高裁、従業員に集団訴訟参加権放棄を求める雇用主との合意を合法と判断

 米連邦最高裁判所は5月21日、雇用者が従業員に対し集団訴訟への参加権を放棄するよう求める合意手続を合法と判断した。この判決は労働組合に加入している労働者には影響しないが、労働組合のない職場の従業員には大きな打撃となる。米国ではすでに約2,500万人の従業員がこの内容の合意書にサインしており、今後はその動きが拡大すると見られる。

 今回の審理は、連邦最高裁判所判事の5対4で確定し、雇用主に有利な判決となった。裁判官は保守派が多数を占めていた。トランプ大統領が昨年最高裁判事として任命したニール・ゴーサッチ氏は、他の4人の保守派の裁判官と共に集団訴訟への参加権放棄の合法化に賛同したと見られる。同氏は、米国連邦仲裁法は労働者が集団的に行動する権利を明示している全国労働関係法と矛盾しないと主張。「議論の余地があるかもしれないが法律は明確だ。仲裁に基づく合意を書面で作成することが指示されている」と判決文に記述した。

 労使間の主な争議は賃金と労働時間についてだが、#MeTooキャンペーンの動きに連動したセクシャルハラスメントの訴えも含め、より広範な争議が訴訟の対象となりうる。しかし今回の判決では争議の内容にまで踏み込まずに、個別の事案として仲裁による解決を望む雇用主側の主張を認めた結果となった。近年は、特に賃金に関する従業員による集団訴訟の気運が高まっており、それを憂慮する雇用主が増えている。雇用主としては、集団訴訟は陪審員裁判による多額の損害賠償を求められる可能性があり、個々の原告による訴訟よりも戦うのが困難な場合が多い。

  一方、労働者側は、仲裁による個別の解決には費用が法外に高価であると反発を強めている ルース・ギンズバーグ判事は、リベラル派の裁判官4人を代表して異議を唱え、この判決を「甚だしく間違っている」として議会に労働者の権利を守る措置を取るよう促した。元全米労働関係委員会の委員であり、現在は米国労働総同盟産業別組合会議のメンバーであるクレイグ・ベッカー氏は、この判決が不正行為を訴えてくる従業員に対して冷や水を浴びせるような効果をもたらし、主要な雇用法の執行を妨害すると述べている。

 民主党のオバマ政権下では、2012年の全米労働関係委員会による集団訴訟参加への放棄を強制する雇用契約の無効化を支持していた。しかし共和党のトランプ政権は政府の立場を逆転させ、雇用者側の主張に沿って個別の仲裁による紛争解決を勧める構えだ。今回の判決は政府の立場を反映させたもので、司法省は判決に満足しているとコメントしている。

【参考ページ】Companies win big at U.S. top court on worker class-action curbs
【参考ページ】Neil Gorsuch Confirmed by Senate as Supreme Court Justice

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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