電力広域的運営推進機関(広域機関)は6月13日、「広域系統整備委員会」の会合の中で、想定潮流の算出方法を見直した結果、5月末までの2ヶ月間で、空き容量が合計374,000kW増加したと発表した。空き容量がないと接続を断れていた事業者にとっては朗報となる。
想定潮流とは、送電事業者が系統計画を立てる段階で用いられる概念で、特定のシナリオ下で電源の連系や稼働がスムーズに行く電気の潮流のこと。想定潮流が送電網の運用容量を超えると、送電網の安定性が損なわれると判断されるため、現行の運用容量内に想定潮流を留めるか(超えると「空き容量がない状態」)、想定潮流をもとに送電網を増強する必要がある。
従来、想定潮流は、電力需要が最も少ない時に送電線に接続している電源が全て「フル稼働(設備容量フル出力)」で発電しているという想定で算出されてきた。そのため、非常に厳しいシナリオで想定潮流が設定されていたため、実際の需給よりも過渡に空き容量を確保していく必要があった。結果、昨今再生可能エネルギーの設備容量が増加する中、空き容量がないとして接続を断れるケースが出てきていた。
経済産業省からの要請もあり、電力広域的運営推進機関(広域機関)は2月21日、想定潮流の算出方法の変更を発表。新手法では、「フル稼働」の考え方をより実態に則したものに変更した。例えば、火力発電は発電コストが安い燃料種順(メリットオーダー)の稼働を想定し、再生可能エネルギーは過去実績を基に電源系統全体のピーク発電想定量をもとに算出し直した。新算出方法は4月1日から導入された。結果、想定上のフル稼働量を低く抑えることができ、空き容量が増加した。
今回の発表では、5月末までに空き容量がないと判断された特別高圧系統への対応アクセス案件数は30件(64事業者に影響)があり、そのうち10件(最大44事業者に影響)で空き容量が増加した。合計374,000kW増加した。そのうち9件(43事業者に影響)は設備増強なしで接続可能となる見込み。広域機関は今後も検討を続ける。
【参照ページ】第34回 広域系統整備委員会 配布資料
【参照ページ】想定潮流の合理化の適用に関するお知らせ
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