グリーンボンド・ガイドライン策定国際NGOの英・気候債券イニシアチブ(CBI)は3月5日、グリーンボンドの発行後レポーティングの現状に関するレポートを発表した。同様のレポートは2017年6月に第1回を発表しており、今回が2回目で、2017年11月までに発行されたグリーンボンドを対象とした。
前回レポートから比べ、分析対象となったグリーンボンドは大きく増加し、発行体数で前回146から367に、発行額では前回660億米ドルから2,810億米ドルとなった。資金使途の充当状況に関するレポーティングを実施している発行体の割合は、前回38%から74%に大幅に増えた。しかし、世界最大級のグリーンボンド発行体の米ファニーメイが同レポーティングを発行しておらず、発行額では88%から79%に減少した。
また今回からは、資金使途の充当状況だけでなく、環境インパクト測定に関するレポーティングの有無も分析した。双方のレポーティングを実施している発行体は、全体の約3分の2。発行時に発行後レポーティング実施を宣言した発行体に限ると93%がレポーティングしていた。タイプ別では、発行額の大きい発行体は発行後レポーティングをきちんと実施する傾向にあり、一方米国の地方自治体等の少額発行体はレポーティングされていないところがあった。
国別では、最も発行後レポーティングを徹底していた発行体帰属国は日本と英国で、実施率100%。イタリア、スペインは99%。ドイツ94%、フランス92%、スウェーデン90%と欧州主要国は90%を超えた。一方、米国71%、カナダ77%、オランダ69%、インド63%と低い国も多く、発行額が少ないマレーシア、南アフリカ、ベトナム、エストニア、ベルギー、スロベニア、アイルランド、スイス等は、実施率が0%だった。
同時にCBIは、発行後レポーティングの質も分析。優秀発行体10社を挙げたが、日本の発行体は1社も入れなかった。優秀企業では、スコア25点満点はIcade(フランス)とSSE(英国)の2社。BNDES(ブラジル)、DBSグループ(シンガポール)、リトアニア・エナジー(リトアニア)、アブダビ国立銀行(UAE)、フランス鉄道線路事業公社(SNCF)(フランス)、ビクトリア州金融公社(オーストラリア)、IREN(イタリア)は24点、DCウォーター(米国)は23.7点だった。
質評価に含まれるインパクト報告では、独自の手法での報告が78%と大半。一方CBIは、「IFI Harmonized Framework」と「Nordic Public Sector Issuers Position Paper」のいずれかに準拠することを推奨している。
【参照ページ】CBI launches Post-Issuance Reporting in the Green Bond Market
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