【アメリカ】EPA、水質浄化法の適用水域を縮小。地下水含めず。オバマ「水質浄化ルール」撤回 2019/04/19 最新ニュース

 米環境保護庁(EPA)は4月15日、水質浄化法(CWA)の解釈を変更し、同法は地下水を対象としないという見解をまとめた法解釈ガイダンスを発表した。前オバマ政権時代に同法を広く解釈し、水質浄化ルール(CWR)を導入したが、トランプ政権は撤回したことになる。

 水質浄化法は、連邦政府の一つであるEPAや米陸軍が水質監督及び水質汚染を防止するための許認可権限を定めている。同法は、「航行可能な水域(Navigable Waters)」に「著しく関係する水域(Siginificant Nexus)」を対象としているが、この言葉の解釈は、時の政権の判断に左右されるだけでなく、司法も巻き込んだ解釈の不一致を生んできた。2006年には、米連邦最高裁判所では、海洋、河川、湖、細流(Stream)と表現されるような地理的特徴を持つ米国領土内の水域と判断した。

 これに対し、前オバマ政権は2015年3月「水質浄化ルール(CWR)」を発表。海洋、河川、湖、細流等の水質保護のためには、それらに流れ込む地下水や湿地も同法の対象となると宣言。土地使用権や私的な所有権には介入しないとしたものの、沼地等への工業廃水に対して大きな監督権限を持つに至った。オバマ政権では、大気浄化法(CAA)を解釈した「クリーンパワープラン(CPP)」により石炭火力発電への締め付けがなされたが、CWRでも石炭灰を含む廃水への規制を強め、同じく反石炭火力政策の一端を担っていた。

 環境規制緩和を進めるトランプ政権は2018年11月、EPAがCWAの解釈の見直しを実施し、同法の対象を「伝統的な航行可能な水域」「同水域の支流」「航行利用されたり潮流の影響を受けるような特定の水路」「特定の湖沼」「これらに隣接する貯水池や湿地」と明確化。一方、同法の対象ではないものとして「地下水」「道路脇の排水溝や農場水路」「事前に転換された農地」「豪雨対策用水路や排水路」を挙げた。特に、工場等特定の汚染源「点汚染源(Point-Source)」からの地下水汚染は同法の対象ではないと言及した。今回のガイダンスは、この見直しにする形で出された。

 EPAは今回、新ガイダンスを導入する理由について、CWAの解釈を巡る混乱があり、解決するためと説明。対象外となった地下水の水質管理は、各州または他の法律が定める連邦政府の役割とした。また、EPAは、安全飲料法、資源保護・回復法、包括環境対応・補償・責任法のもとでは地下水に対する監督権限を持つとした。但し、汚染された地下水由来で地表水が汚染される事象については、「地下水由来は汚染の因果関係が不明瞭」と捉える考えを示した。

 現在、同法の解釈を巡っては、ハワイ州で係争があり、連邦控訴裁判所での判決が出ているが、今年秋から連邦最高裁判所に持ち込まれることになっている。EPAが今回下した解釈を含め、連邦最高裁判所での判断に注目が集まる。

【参照ページ】EPA Issues Guidance on Clean Water Act Permitting Requirements
【参照ページ】IN THE UNITED STATES COURT OF APPEALS FOR THE NINTH CIRCUIT HAWAII WILDLIFE FUND; SIERRA CLUB-MAUI GROUP;SURFRIDER FOUNDATION; WEST MAUI PRESERVATION ASSOCIATION

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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