自然エネルギー財団のアジア国際送電網研究会は7月31日、日本を含むアジアでの国際送電網実現に向けた第3次報告書を発表した。同研究会は、2016年7月の設置以来、3年間にわたり、日本と北東アジアを結ぶ国際送電網の可能性について議論を続けている。
第1期には、欧州における国際連系線を介した電力貿易拡大の背景を踏まえ、対照的な北東アジアの状況について考察。第2期には日本・韓国・ロシアを結ぶ国際連系線を想定し、建設費用を複数パターンで試算。北米への現地調査を基に、費用回収に向けたビジネスモデルも示した。第3期にあたる同報告書では、国際送電網による社会経済的便益を詳細に分析し、エネルギー安全保障上の懸念なども含め、多面的に考察した。
同報告書によると、世界では国際連系線の建設が相次いでいるが、日本ではその経済的合理性の理解が不十分なことや、エネルギー安全保障上の心理的懸念もちらつき、未だに気運が持ち上がらないという。自然エネルギ財団は今回、国内に十分な発電量があることを前提に一定量に留める電力輸出入を行うことで、エネルギー安全保障上の懸念は実質的に無視できることを強調。日本同じく島国の英国でも拡大していることや、北東アジアで日本のみが国際送電に前向きでない点は危惧すべきと警鐘を鳴らした。
自然エネルギー財団は、今回の報告書をきっかけに日本における国際送電網構築の取り組みが活発となることに期待を寄せている。
【参考】アジア国際送電網研究会 第 3 次報告書
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