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【アメリカ】アトランティック・コースト・パイプライン建設計画廃止。訴訟で事業継続困難

 米エネルギー大手ドミニオン・エナジーとデューク・エナジーは7月5日、ウェスト・バージニア州からノースカロライナ州まで970kmのガスパイプライン「アトランティック・コースト・パイプライン」建設計画を白紙撤回すると発表した。直前に連邦最高裁判所で建設許可の勝訴を勝ち取っていたが、同計画そのものが廃止されることになった。

 同計画は、ドミニオン・エナジーとデューク・エナジーの合弁会社が事業主体となる形で2014年に発足。ウェストヴァージニア州からノースカロライナ州のエネルギー供給不足を解消するため、家庭、企業、学校、軍施設向けのガス供給を目的とし建設計画が進められていた。特に同地域では、石炭火力発電からガス火力発電への転換も進められており、ガス需要が増加していた。

 しかし、長距離自然歩道「アパラチアン・トレイル」の地下をパイプラインが横切ることには環境破壊リスクがあるとして、環境団体Cowpasture River Preservation Associationが、同社と米農務省森林局を相手取り提訴した。前オバマ政権では、アパラチアン・トレイルを横切らない迂回ルートの検討を要請していたが、トランプ政権となり、同トレイルを所管している農務省森林局が建設許可を出していた。

 今回の裁判では、米内務省国立公演局の所管である国立公園での建設許可を森林局が出す権限があるかどうかに焦点が集まった。判決では7対2で被告側が勝利した。理由としては、同トレイルは国立公園局が管理する土地の上にある森林局所管の歩道であり、最終的に森林局の所管と判断。森林局に建設許可の判断を出す権限があるとした。

 しかし、訴訟のためプロジェクトの進行はすでに3.5年から4年ほど遅延し、コストも当初の45億米ドルから50億米ドルの水準から、80億米ドルにまで膨れ上がった。その上、同プロジェクトについては、他の水系や湿地を横切ることに反対するモンタナ州での訴訟も抱え、すでに連邦循環区裁判所からは連邦政府の許可を撤回する判決がでる可能性が高まっている。さらに他にも訴訟リスクがあり、最終的に事業継続は難しいと判断した。

 ドミニオン・エナジーとデューク・エナジーは、同地域では依然としてガス需要が高いが、再生可能エネルギー、原子力発電、バッテリー、電気自動車(EV)インフラ、省エネを強化していくとした。

【参照ページ】Dominion Energy and Duke Energy Cancel the Atlantic Coast Pipeline

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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