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【北米】米国・メキシコ・カナダ協定が7月に発効。カナダでも強制労働関与品の輸入禁止措置制定

 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が7月1日に発効し、カナダとメキシコでも強制労働に関与する物品の輸入が禁止されることとなった。米国では先に禁止されていたが、カナダでは同日から改訂・関税規則が施行され、明確に輸入禁止が盛り込まれた。

 USMCAの第23条6項には「強制労働」という項目が設けられており、その中で、各国は児童労働を含むいかなる強制労働を撲滅するという共通の目標を認識し、強制労働に関与して生産された物品の輸入を禁止することを義務化した。また、3ヶ国は強制労働に関与して再三された物品の特定と物流の把握で協力しあう義務があることも規定した。

 強制労働に関しては、米国では1930年関税法の307条の中で、児童労働を含む強制労働が採掘や生産において関与してる物品の輸入を禁止しており、発覚すると関税当局により押収される可能性がある。また輸入事業者に対しては刑法上の捜査が行われる可能性もある。同法は1930年に制定された当初は、米国で生産されていない消費財にのみ同規定を適用するという条件が付いていたが、2016年にオバマ政権が「2015年貿易円滑化・貿易執行法」を制定させた際に、条件が撤廃され、全ての物品に対し同規定が適用されることとなった。

 カナダでは、USMCAを国内法化するためUSMCA導入法を制定。それに基づき、カナダ国境サービス庁は7月1日から新たな関税規則を導入した。それによると、同日から児童労働を含む強制労働に関与している物品のカナダへの輸入を禁止。但し、個人使用目的での輸入品については適用を除外した。個人として輸入しても、商業利用や再販売する場合には適用される。NGOワールド・ビジョン・カナダによると、カナダには強制労働に関与している物品の輸入が年間推定で340億米ドル(約3.6兆円)分あるという。違法が発覚した場合の措置については、同庁からまだ発表はない。

 メキシコでも同様に、USMCAの国内法化作業が進められているが、まだ強制労働に関わる輸入禁止については法令が制定されていない模様。その一方で、メキシコでは、国内での強制労働問題を抱えており、米国やカナダに輸入する際のリスクの方に関心が集まっている。特にリスクが高いのは、農作物の輸出。メキシコの人権NGO等は、条約条文を理由に、国内法化前でも強制労働品の輸入をやめるよう呼びかけている。

 USMCAの交渉過程では、米国側がメキシコ側に対し、労働ルール違反が発覚した場合に、米国の査察官がメキシコでの強制査察を実施できるよう求めていたが、米国による行政権をメキシコ国内で自由に執行できるようになることを警戒し、メキシコ側は拒否。結果、最終条項では、労働ルール違反が発覚した場合には両国政府間で紛争解決制度を設けて対処することとなっている。

【参照ページ】USMCA
【参照ページ】Forced Labor
【参照ページ】Import prohibition on goods produced wholly or in part by forced labour

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