国連環境計画(UNEP)は11月16日、天然資源に関する国際貿易が、環境破壊に大きな影響を及ぼしていると警鐘を鳴らし、規制当局に対してサーキュラーエコノミーを促進するための規制を策定するよう要請した。
UNEPは今回、UNEPが2007年に発足した「国際資源パネル(IRP)」と協働で作成したレポート「Sustainable Trade in Resources: Global Material Flows, Circularity and Trade」を発表し、貿易の状況と環境破壊との関係を分析。多くの国際貿易事業が各国の経済活動を支えており、特に発展途上国や開発国においては雇用創出に貢献していることへの理解を示しつつ、現状のやり方では環境への負荷が非常に大きいこと指摘した。
例えば、2017年には、石油から鉄鉱石、ジャガイモ等、多岐に渡る種類の資源およそ350億tが、主に貿易を目的に、地球上から採取。一方で、2017年に記録されている生物種の絶滅の90%、水ストレスの90%、温室効果ガスの70%は、天然資源の採取に起因した環境破壊とされている。
2060年には、現在の2倍以上の天然資源が必要になると予想されている。
UNEPは、サーキュラーエコノミーを促進する経済モデルを導入することで、リサイクル業界や修理業界にも新たなビジネスが登場し、2060年には環境に配慮した経済モデルの成長率がプラス8%になると試算。
経済の発展には伐採や採掘などをしなければならないと考える人がいるが、その考え方は誤りであり、循環性と再利用のある社会を確立することで、地球や次世代の社会を守りつつ、経済を発展し続けることが可能であると呼びかけた。
UNEPは、米航空宇宙局(NASA)の人工衛星が、過去数カ月間にわたり毎日観測した地球の映像を基にしながら、世界各国で火災や熱帯異常が発生している実態を危機感を示した。これらの火災や熱帯異常の大半は、世界中の牛肉や豆乳に対する需要を満たすために行われる森林伐採に起因しているものであると指摘している。
【参照ページ】New trade rules vital to protecting the planet
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