国際環境NGOグリーンピース・東アジアは12月17日、中国での生分解性プラスチックに関する生産状況や環境インパクトをまとめたレポートを発表した。中国で急増している生分解性プラスチックの生産量が、国内で原料を生分解できる能力を上回っているとして、プラスチック環境汚染問題の解決に繋がっていないと指摘した。
中国政府は、2020年1月に一部製品での使い捨てプラスチック使用禁止を宣言しており、主要な地域は2020年12月までに、国全体としては2025年までに禁止地域が拡大される。生分解性プラスチックは、使用が認められていることもあり、近年生産が大幅に増えている。
【参考】【中国】政府、プラスチック製品禁止発表。2025年までにEU並の規制。日本は中国に先越される(2020年1月21日)
例えば、2020年には、36社が中国に新たに生分解性プラスチックの製造施設を建設。これにより、生産能力は年間440万トン以上となり、過去12カ月で7倍以上に増えた。
しかし、グリーンピースは、「生分解性プラスチック」という言葉が誤解を招きやすいことを指摘。生分解性プラスチックは、生物によって分解されることもあるが、ほとんどの場合は、6カ月以内に分解するためには高温を用いた特殊な処理を必要とする。しかし中国には、特殊処理が可能な施設が少ない。通常通り、埋め立て地に残された場合には、6カ月以上そのままの状態で残ってしまう。
また、グリーンピースは、中国のEコマース業界は、国全体が使い捨てプラスチックを使用しなくなるとされる2025年までに、年間約550万トンの生分解性プラスチックのゴミを出すことになると試算した。つまり、廃棄量が生産量を上回ることになる。
こうした状況を受け、グリーンピースは、加速している生分解性プラスチックの生産ラッシュを止めるよう警告。環境のために行っている投資の対象を正しく理解するよう警告した。
また、企業や政府に対しては、プラスチック製品の使用を全体的に減らすためのアクションプランを明確に策定し、経済協力開発機構(OECD)が提唱する拡大生産者責任(EPR)に基づく再利用可能なパッケージシステムを開発するよう呼びかけた。
【参照ページ】Biodegradables will not solve China’s plastics crisis
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