内閣府に設置され、加藤雅信・官房長官が議長を務める統合イノベーション戦略推進会議は1月19日、日本政府全体の新たな科学技術・イノベーション基本計画となる「第6期科学技術・イノベーション基本計画」の答申の素案を決定した。その中で、今後5年間で、政府として研究開発投資の総額約30兆円、官民合わせた研究開発投資の総額約120兆円を目指すことを打ち出した。同素案は閣議に提出され、そこで政府として閣議決定する。
科学技術・イノベーション基本計画は、2016年に策定された現在の第5期科学技術基本計画の中で、サイバー空間とフィジカル空間の融合という新たな可能性への研究開発に加え、人間中心という価値観を基軸に据え、「Society 5.0」というコンセプトを打ち出した。そこから日本の官民では「Society 5.0」というキーワードが広がっていった。
また、1995年に制定された科学技術基本法は、2020年に国会で25年ぶりに本格改正され、法律名称も科学技術基本法から、科学技術・イノベーション基本法に改定され、それにより計画名も今回「科学技術・イノベーション基本計画」となった。同改正では、技術革新による商品開発や生産活動だけだったイノベーション概念をようやく変更し、ビジネスモデル等も含意したイノベーションを掲げた形となった。特に念頭には、これまで軽視されていたIT技術が置かれた。
今回の第6期科学技術・イノベーション基本計画は、考え方の柱を「Society 5.0の実現」とし、大きな考え方としては2016年のものを基盤に据えた。また政府機関のデジタル化が、実現の要諦の一つと捉え、「政府のデジタル化、デジタル庁の発足、データ戦略の完遂」も大きく取り上げた。
金額面では、政府の5年間の研究開発投資約30兆円、それを呼び水とした官民での研究開発投資総額約120兆円を掲げた。実現に向けては、政府の予算拡充、10兆円規模の大学ファンドの創設等。そのため政府予算のうち20兆円が企業向けとなる。民間向けでは、研究開発税制の拡充、人材の質向上の他、ESGファイナンス・インパクトファイナンスを盛り上げるため、2021年度中に大手金融・機関投資家が取り組むための促進体制を整備し、その後に地域金融機関や中小・個人投資家への取組へ波及させるとした。
分野別戦略では、AI、バイオ、量子技術、マテリアル(素材)、健康・医療、宇宙、海洋、食料・農林水産業の7つを挙げた。すでにバイオやマテリアルでは個別戦略の作成検討が進められており、今後各分野での戦略を政府として採択していく考え。
【参照ページ】統合イノベーション戦略推進会議(第8回)
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