IT世界大手米アマゾンは1月6日、米3州に21.3億米ドル(約2,200億円)規模のアフォーダブル住宅基金「Housing Equity Fund」を設立すると発表した。同社の事業所の付近では雇用増による住宅価格の向上が地元の住民の生活を圧迫していることを課題視し、同時に手頃な価格の住宅を増やすことで価格高騰を抑えにいく。
同社の今回の発表では、同社は、ワシントン州のピュージェット湾地域、バージニア州アーリントン郡、テネシー州ナッシュビルの3地区で、今後数年以内に合計5,000人以上の雇用を検討しており、これらの地域で、各々所得階層が30%から80%程度の層が同基金の支援対象となる。支援としては、アフォーダブル住宅建設事業者への低金利ローンが20億米ドルを提供し、2万戸のアフォーダブル住宅提供を狙う。さらに、住宅危機を解消するためのイノベーティブなソリューションを提案する企業、NGO、マイノリティ運営団体、政府機関等に寄付金を1.25億米ドルを支給する。
今回の事案は、アマゾンの第2本社建設の議論が背景にある。同社は、ワシントン州シアトルに本社を置いているが、2017年9月に第2本社の建設計画を発表。238の地域から誘致合戦が沸き起こった後、2018年11月にニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ地区と、バージニア州アーリントンの2ヶ所を選定した。しかし、特にクイーンズ地区周辺からは、住宅価格高騰を恐れる地域住民から大きな反対運動が展開された。その結果、2019年2月、アマゾンはニューヨーク市での第2本社建設を断念し、アーリントン郡への一本化を余儀なくされた。
アーリントン郡政府の委員会は2019年3月、一部市民から大きな反対の声もあったものの、賛成5、反対0で、アマゾンに対する5,100万米ドル相当の助成策を承認し、第2本社の建設計画を承認。しかし、地元の反発の声を受け、アフォーダブル住宅の増加のために、自ら資金を提供する道を選んだ。
【参照ページ】Amazon Launches $2 Billion Housing Equity Fund to Make Over 20,000 Affordable Homes Available for Families in Communities It Calls Home
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