日本アパレル・ファッション産業協会は7月29日、「フィジカルインターネット実現に向けた百貨店物流の効率化に関する賛同宣言」を発表した。実行力に注目が集まる。
今回の宣言は、経済産業省と国土交通省が設置した「フィジカルインターネット実現会議」が3月8日、物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット」に関する2040年ロードマップを発表したことに関するもの。アパレル・ファッション産業協会の会員である141社が、「主体的に取り組んで行くことを宣言」したという。
フィジカルインターネットとは、インターネット通信でのパケット通信の手法を応用し、物流での効率化を図るという概念。パケット通信では、交換規約(プロトコル)によって規格の統一化が図られており、物流サプライチェーン全体での協働が鍵を握る。
フィジカルインターネット実現会議では、将来物流コストが大幅に高騰していくことを懸念した。需要側ではEコマースによる物流貨物量の上昇や、多品種・小ロット輸送の増加が要因。供給側ではトラックドライバーの不足に加え、カーボンニュートラル化でコスト上昇圧力を意識した。一方、気候変動の物理的リスクによる供給側の悪化は含まれていない。将来には「物流危機」が起きる可能性を指摘し、GDPの押し下げ要因にもなるとした。
同会議において経済産業省は、ガートナーが2021年に発表した「Supply Chain Top 25 for 2021」の中で、上位25者に日本企業が1社もいなかったことも強調した。
今回の日本アパレル・ファッション産業協会の宣言は、2040年ロードマップに賛同するという趣旨だが、宣言文は「一般社団法人 日本アパレル・ファッション産業協会は、経済産業省と国土交通省による「フィジカルインターネット実現会議」で示された、国内が直面している物流を軸とした諸課題の解消に向け取り組んでまいります」という非常に淡白なものだった。ロードマップ実施に向けた体制や進捗確認は現時点でなにもない。
【参照ページ】百貨店物流の効率化に関する賛同宣言について
【参照ページ】フィジカルインターネット・ロードマップを取りまとめました!
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