証券監督者国際機構(IOSCO)は9月15日、サステナビリティ報告の第三者保証に関し、監査法人及び公認会計士の国際団体である国際会計士連盟(IFAC)に設置された国際監査・保証基準審議会(IAASB)と国際会計士倫理基準審議会(IESBA)が双方で進めている基準策定の動きを歓迎するとともに、両団体に対し考慮すべき3つの事項を伝えた。
現在、国際監査・保証基準審議会(IAASB)では、サステナビリティ報告の第三者保証の業務や品質向上に向けた需要の高まりを受け、国際保証業務基準3000(ISAE 3000)等の改訂や、サステナビリティ報告の各項目に焦点を当てた個別保証基準の策定を進めている。2021年12月にはIAASB議長が声明を発表し、2023年までの事業計画の中で、サステナビリティ報告保証の基準検討に関する専門チームを発足したことも明らかにした。
また、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)も6月、サステナビリティ報告の第三者保証に関し、倫理基準を策定することを決定。IESBAのサステナビリティ・ワーキンググループに、サステナビリティ報告及び保証に関連するIESBAの基準設定活動の指針となる戦略的ビジョンを策定するように指示している。同ワーキンググループは、2022年12月までにプロジェクト計画を作成した後、基準設定作業を開始するための叩き台を作成する予定。IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるサステナビリティ開示基準策定と、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によるサステナビリティ関連の国際保証業務基準(ISAE)の策定と並行して進める考えを伝えている。
IOSCOは、公認会計士や監査法人を監督する金融当局の団体として、2022年2月にサステナビリティ報告保証に関するラウンドテーブル会議を開催。140以上のステークホルダーが集結した。またその後も投資家、発行体、監査法人、基準策定機関等とのエンゲージメントを重ね、今回、IAASBとIESBAへの要請事項として内容を整理した形。
要請では、まず、IAASBとIESBAに対し、双方が協調して基準策定作業を進め、ISSBとも協力しながら財務報告とサステナビリティ報告の接続性を確保することが重要とした。
また、投資家が求める高品質なサステナビリティ情報開示を実現するため、保証の対象項目、保証で準拠を確認した基準、保証作業の結果、完全線合成と部分整合性のどちらの判断となったかの3つを明確にできる要件を確保するよう要請した。
最後に、サステナビリティ報告は、財務報告と異なり、文章での定性報告、企業グループ外のバリューチェーンにを含む報告、過去ではなく未来視点での報告が多く含まれるという特性を踏まえ、IAASBが国際保証業務基準3000(ISAE 3000)等の改訂を進める際に、当該特性を考慮すること、投資家からのフィードバックを十分に受けること、保証やリスクアセスメントに関する堅固な手法を定めることを要請した。加えて、IAASBとIESBAに対し、適切なガイダンスを発行し、保証業務従事者のキャパシティビルディングを支援するよう促した。
IOSCOは今後も、ISSB、IAASB、IEASBの動きを注視し、積極的に作業に関与していく考え。
【参照ページ】IOSCO encourages standard-setters’ work on assurance of sustainabilityrelated corporate reporting
【参照ページ】THE DEMAND FOR ASSURANCE ENGAGEMENTS ON SUSTAINABILITY AND ESG REPORTING IS HIGH. HERE IS HOW THE IAASB IS RESPONDING.
【参照ページ】IESBA COMMITS TO READYING GLOBAL ETHICS AND INDEPENDENCE STANDARDS TIMELY IN SUPPORT OF SUSTAINABILITY REPORTING AND ASSURANCE
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