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【国際】豪NGO、気候変動懐疑派・否定論としてキヤノンへのキャンペーン開始。国際的議論へ

 豪NGOのAction Speaks Louderは12月6日、キヤノンが気候変動対策を妨げていることを指摘するキャンペーンを開始。キヤノンと同社の御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長CEOに対し、アクションを要求した。キヤノンに対する反発が高まってきている。

 キヤノンが批判されている理由の一つが、キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)の杉山大志・研究主幹の活動。日本では気候変動懐疑派・否定論の論客として知られ、寄稿や著作も多い。Action Speaks Louderは今回、杉山氏が、政府委員も多数務め、政府との関係性も近いと指摘。「気候科学に関する誤った情報を広め、化石燃料を推進し、日本のクリーンエネルギーへの移行を遅らせようとしている」と言及した。

 Action Speaks Louderは早くから、キヤノンの問題の指摘を開始。2月には英紙ガーディアンは、Action Speaks Louderのキヤノンの問題に言及した内容を引用し、キヤノンの姿勢を問題視する記事を展開している。6月にはキヤノンのサステナビリティ報告書発行後に、Action Speaks Louderが多数のツイートをし、サステナビリティ報告書の文言と、杉山氏の主張に大きな乖離が在る点も突いた。

 キヤノンは現在、スコープ3を含めた2050年カーボンニュートラルと、ライフサイクルでの製品1台当たりの二酸化炭素排出量改善指数を2008年比で2030年までに50%にするという目標を掲げている。この改善指数には、スコープ1、2、3だけでなく、製品での削減貢献量も含め算出されている。東アジアを対象とした環境NGOのTransition Asiaも11月、キヤノンの現在そして最新の成長予測、効率性に関する目標の達成度、エネルギー消費をモデリングし、2022年から2030年にかけての排出量を予測。その結果、2030年の総量での削減目標は、23%程度にとどまっていると発表している。

 Action Speaks Louderは今回のキャンペーンでも、Transition Asiaの算出結果を引用し、かつての目標から大幅な目標の引下げが行われていると非難。富士通、HP、NEC、ニコン、リコー、セイコーエプソン、ソニー等と比べても、大幅に削減が遅れていると指摘した。

 そこで、キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)の評議員会議長も務める御手洗冨士夫氏に対し、3つのアクションを要求した。

  • 気候変動科学を否定するCIGSの研究主幹による出版物の販売が停止されるまで、CIGSへの支援を中止すべき。何よりもまず、杉山氏による中高生を対象とした書籍『15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス』の販売を停止すべき
  • CIGS研究員の見解に対して責任を負うべきであり、特に杉山氏による政府および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への関与をやめさせるべき
  • CIGSの反科学的で化石燃料を支持する見解を決して支持しない、また自社のブランドがそうした極端な意見のためのプラットフォームとして使用されることを許しているガバナンス不足に関して公開審査を行うとする公式声明を発表すべき

 さらに、キヤノンに対しても3つのアクションを要求した。

  • 最低でも2010年比で約45%の削減(オフセットを除く)に相当する排出量総量の削減目標を新たに設定しコミット
  • 再生可能エネルギー100%にコミットするとともに、少なくとも2030年までに再エネ60%を目指し、自家消費型発電ならびにPPAモデル(第三者所有モデル)を導入
  • とりわけ日本において、1.5℃目標に関連する主要規制および再生可能エネルギー政策に対し積極的な働きかけを行うことを含め、1.5℃目標に整合する気候政策への関与・働きかけに関する方針を策定・導入

 日本の大企業や金融機関では、社内シンクタンクやアナリストが、個人の見解として種々の発信を行っているケースも多い。しかし、それらの意見にも、企業グループの方針との整合性が求められるようになってきている。

【参照ページ】キヤノン、排出削減目標引き下げか。サステナビリティ・ブランドの裏で気候変動懐疑論を広めるキヤノン戦略研究所にも懸念。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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