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【日本】金融庁、ESG評価・データ提供機関に係る行動規範を公表。投資家と企業にも提言

 金融庁は12月15日、「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」を公表した。7月に案を公表し、パブリックコメントを募集していた。日本市場で活用されている海外のESG評価機関やデータプロバイダーも対象となる。

 金融庁の今回の動きは、証券監督者国際機構(IOSCO)が2021年11月、ESG評価機関やESGデータプロバイダーに関する勧告を採択し、日本市場においても同勧告を日本として反映したもの。

【参考】【国際】IOSCO、ESG評価に関する勧告採択。当局、評価機関、市場関係者、発行体向け(2021年12月4日)

 まず、今回の行動規範は、ESG評価・データ提供機関向け「行動規範」の基本的な柱となる「原則」、「原則」を実施していくに当たってより詳細な留意点・方法論をまとめた「指針」、「原則」と「指針」の設定に当たっての背景・理由等をまとめた「考え方」の3つに分けて記載されているが、いずれも原則主義(プリンシプルベース)としてのルールであることを明記。市場の状況や商慣習の動向に応じて、当局として柔軟にルール適用していく。

 また、同行動規範は、法令等に基づき一律に対応を求めるものではなく、各機関に、規範の趣旨に賛同しこれを受け入れる旨の公表を呼びかけ、「コンプライ・オア・エクスプレイン」での普及を目指すとした。公表では、「全ての原則・指針を一律に実施しなければならないものではないが、実施しない場合の説明については、評価を利用する投資家等や評価を受ける企業の幅広い理解が得られるよう、原則及び指針の項目ごとの遵守状況と実施しない理由が理解出来る分かりやすい説明が必要となると考えられる」とした。

 最終確定した原則は、

  • 原則1(品質の確保):ESG評価・データ提供機関は、提供する ESG評価・データの品質を確保するべきであり、このために必要な基本的手続き等を定めるべきである
  • 原則2(人材の育成):ESG評価・データ提供機関は、自らが提供する評価・データ提供サービスの品質を確保するために必要な専門人材等を確保し、また、自社において、専門的能力の育成等を図るべきである
  • 原則3(独立性の確保・利益相反の管理):ESG 評価・データ提供機関は、独立して意思決定を行い、自らの組織・オーナーシップ、事業、投資や資金調達、その他役職員の報酬等から生じ得る利益相反に適切に対処できるよう、実効的な方針を定めるべきである。利益相反については、自ら、業務の独立性・客観性・中立性を損なう可能性のある業務・場面を特定し、潜在的な利益相反を回避し、又はリスクを適切に管理・低減するべきである
  • 原則4(透明性の確保):ESG評価・データ提供機関は、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、評価等の目的・考え方・基本的方法論等、サービス提供に当たっての哲学を一般に明らかにするべきである。また、提供するサービスの策定方法・プロセス等について、十分な開示を行うべきである
  • 原則5(守秘義務):ESG評価・データ提供機関は、業務に際して非公開情報を取得する場合には、これを適切に保護するための方針・手続きを定めるべきである
  • 原則6(企業とのコミュニケーション):ESG 評価・データ提供機関は、企業からの情報収集が評価機関・企業双方にとって効率的となり、また必要な情報が十分に得られるよう、工夫・改善すべきである。評価等の対象企業から開示される評価等の情報源に重要又は合理的な問題提起があった場合には、ESG 評価・データ提供機関は、これに適切に対処すべきである

 さらに、同規範には、ESG評価機関のステークホルダーとなる投資家と企業に対しても「提言」も記載した。投資家向けの提言は、「投資家は、自らが投資判断等に用いている ESG評価・データについて、評価の目的、手法、制約を精査・理解し、評価結果に課題があると考え得る場合等には、ESG評価・データ提供機関や企業と対話を行うべきである。また、投資家自身が投資判断においてどのように ESG評価・データを利用するかについての基本的考え方を、一般に明らかにすべきである」。さらに具体的な提言も3つまとめられた。

 企業向けの提言は、「企業においては、規制動向等も踏まえつつ、ESG 関連の情報をわかり易く開示すべきである」。リスクと機会双方の観点から、企業全体としての重要事項を整理し、品質を確保した上で市場関係者が確認しやすい開示を促した。またウェブサイト等での開示内容については、更新日等の時期に係る情報の明確化と、国内外のESG評価機関に関する問合せに対応するメールアドレス等の窓口の開示、ESG人材の育成、問題があるときはESG評価機関との建設的な対話を盛り込んだ。

【参照ページ】「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」の公表について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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