国際ジャーナリストNGOの国境なき記者団(RSF)は5月3日、「世界報道自由度ランキング」の2023年版を発表した。首位はノルウェー。日本は68位だった。RSFは2002年から毎年発表。今回は180ヶ国が対象となった。
同ランキングは、ジャーナリストや報道機関の活動の自由度を測定したもの。評価手法は、「政治文脈」「法規制」「経済文脈」「社会・文化文脈」「ジャーナリストの安全」の5つ。
世界報道自由度ランキング
- ノルウェー
- アイルランド
- デンマーク
- スウェーデン
- フィンランド
- オランダ
- リトアニア
- エストニア
- ポルトガル
- 東ティモール
- リヒテンシュタイン
- スイス
- ニュージーランド
- チェコ共和国
- カナダ
G7諸国では、カナダ15位、ドイツ21位、フランス24位、英国26位、イタリア41位、米国45位、日本68位の順。アジア諸国では、台湾35位、韓国47位、マレーシア73位、タイ106位、インドネシア108位、シンガポール129位、フィリピン132位、カンボジア147位、ミャンマー173位、ベトナム178位、中国179位、北朝鮮180位。
日本は2021年から3つ順位を上げた。RSFのコメントでは、2012年以降、民族主義的右派が台頭し、多くのジャーナリストが、不信感や敵意を感じているとした。また、記者クラブ制度に関しても、記者の自己検閲を誘発し、フリーランサーや外国人記者に対する露骨な差別を表している主張した。特定秘密保護法による過度な規制を緩和することを政府が拒んでいることもマイナス要因とした。
他には、日本政府と大企業は、日常的に主要メディアの経営に圧力をかけており、その結果、腐敗、セクハラ、新型コロナウイルスや放射能、公害等、デリケートと目されるテーマについては、激しい自己検閲が行われていると指摘。2020年に、日本政府が新型コロナウイルス感染症対策を口実に、記者会見に招待する記者の数を大幅に減らし、公共放送のNHKを、重大な国家的危機の場合に政府の「指示」に従うべき組織のリストに加えたことも問題視した。日本では、新聞と放送局の相互所有に対する規制がないため、極端なメディア集中が起こっていることも課題とした。
2021年に制定され2023年に初めて適用された土地利用規制法に関しても、安全保障上の「注視区域」内での土地等の利用者に対し、最高2年の禁固刑と最高200万円の罰金を科せるようにしたことが、記者が重要インフラの場所に立ち入ることを制限できる内容にもみえるとし、減点要因となった。
記者の労働環境に関しては、比較的安全としつつも、SNS上で中傷的とみなされる内容をリツイートしただけでも、政治家から訴えられるケースがあると指摘。政府批判や福島第一原子力発電所事故による健康問題等のテーマを扱う記者に対して民族主義的右派による日常的な嫌がらせが実施され、2022年12月には、日本外国特派員協会に対して爆破と記者2名の殺害予告に関する脅迫電話が複数回かかってきたとした。
【参照ページ】2023 World Press Freedom Index
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