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【国際】WHO、改正国際保健規則合意。パンデミック緊急事態制定。パンデミック条約交渉は継続

【国際】WHO、改正国際保健規則合意。パンデミック緊急事態制定。パンデミック条約交渉は継続 1

 世界保健機関(WHO)は5月27日から6月1日まで、世界保健総会(WHA)を開催。採択を目指していたパンデミック条約では合意できず、1年以内の合意を目指すことで一致した。

 WHO加盟国は、新型コロナウイルス・パンデミックを受け、将来のパンデミックに備えるための国際制度の確立に向けた交渉を開始。具体的には、2005年制定の国際保健規則(IHR)改正とパンデミック条約採択に向けて、2022年2月から約2年間交渉を続けてきた。

 今回のWHAでは、国際保健規則の改正は採択された。まず、従来はパンデミックの概念について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を土台としていたが、改正規則では、PHEICの中に「パンデミック緊急事態」の概念を新設。パンデミック緊急事態宣言の要件として、感染性疾病、複数の国にまたがって地理的に広い範囲で拡大する危険性、各国の保健システムの対応能力を超える危険性、国際的な運輸・貿易を含む社会的・経済的な混乱を生じさせる可能性、政府全体・社会全体によるアクション等迅速で公平かつ強化された国際的な行動の必要性を設定した。パンデミック緊急事態の宣言権限も、PHEICと同様、WHO事務局長が持つ。

 さらに発展途上国での対応を念頭に「公平性と連帯の促進」が原則に追加された。パンデミック発生時には、WHOが、医療製品へのアクセスの状況の調査、適切な医療製品を各国に分配する仕組みの設置、医療製品の研究開発や製造の地理的な分散化を促進するメカニズムの設置等が行うことが明記された。資金協力でも、WHO加盟国がIHRの実施のための国内資金と、国際協力を促進するための資金の維持・増額することも盛り込まれた。IHR実施のための締約国委員会の設置も決まった。

 一方、パンデミック条約については、合意に至らなかった。パンデミック条約案には、パンデミックに対するレジリエンス、実際のパンデミック候補発生に対する予防、検知、対応、パンデミック対策への公平なアクセス確保、WHOの責任強化と世界的な協調支援を目的としている。

 具体的には、パンデミックの予防及びサーベイランス能力を段階的に強化するための、水・衛生(WASH)、予防接種、感染症の予防・管理、人獣共通感染症、研究施設における生物学的リスクの管理、媒介感染症、薬剤耐性等の分野を含む包括的なパンデミックの予防及びサーベイランスに関する自国の計画等を作成、強化、実施や、人、動物、環境の分野横断的な連携を通じたワンヘルスアプローチの推進、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を念頭にした保健システムの強化等が掲げられている。

 またパンデミック対策への公平なアクセスでは、ワクチンを含めたパンデミック関連医療製品の製造拠点の多様化及びサステナビリティの強化、需給ギャップの低減のための措置の実施や、パンデミック関連医療製品の製造技術及びノウハウの移転促進、パンデミック関連医療製品へのアクセスを向上するためのネットワークが規定されている。透明性のある正確な科学及びエビデンスに基づいたパンデミック関連情報へのアクセスを強化も盛り込まれている。

 今回の交渉では、先進国側が医療製品の権利保護を主張し、慎重な姿勢を示したのに対し、発展途上国側が早期の採択を求めた形となった。パンデミック条約は、個別の条約として制定されるため、世界保健機関(WHO)の加盟国であっても、一律に加盟する形ではなく、個別に加盟当否を判断する。

 パンデミック条約に関しては、WHOの判断でワクチン接種が強制されるようになるというデマも広がっている。同条約案には、「WHOパンデミック条約のいかなる規定も、WHO事務局(WHO事務局長を含む)に対し、締約国の国内法及び/または国内政策を指示、命令、変更、またはその他の方法で規定する権限、あるいは、締約国に対し、渡航者の入国禁止や受入れ、ワクチン接種の義務化、治療・診断措置の実施、ロックダウンの実施等、特定の行動をとるよう義務付ける権限、またはその他の方法を課す権限を与えるものと解釈してはならない」と条項が盛り込まれている。

【参照ページ】World Health Assembly agreement reached on wide-ranging, decisive package of amendments to improve the International Health Regulations
【参照ページ】いわゆる「パンデミック条約」の交渉(パンデミックの予防、備え及び対応(PPR)に関する新たな法的文書)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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