
欧州委員会は5月20日、森林破壊・森林劣化規則(EUDR)に基づき、「高リスク国」と「低リスク国」の指定方法を規定するEU規則案を提示し、分類案も示した。
【参考】【EU】欧州委、EUDRの簡素化内容発表。デューデリジェンス声明提出負担を軽減(2025年4月16日)
【参考】【EU】森林破壊・森林劣化規則が成立。7品目にデューデリ義務。猶予期間は18ヶ月。違反時は巨額罰金も(2023年5月18日)
同規則は、パーム油、牛(牛肉・牛皮革等)、木材(紙パルプ含む)、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆及びそれらの関連製品を、EU市場に流通、提供、輸出する全事業者、貿易業者に対し、原材料の生産地までトレースするデューデリジェンスの実施を義務化するもの。
適用時期に関しては、当初は、大企業が2024年12月30日、中小企業のトレーダーは2025年6月30日だったが、2024年12月23日に同規則が改正され、適用が1年延期。大企業が2025年12月30日、中小企業のトレーダーは2026年6月30日となっている。義務化の適用対象は、EU市場に対象7品目を最初に流通、提供、輸出する事業者(オペレーター)と、すでにEU市場で流通している対象7品目を取り扱う流通事業者(トレーダー)。
但し、欧州委員会は、輸入元の国を「低リスク」「標準リスク」「高リスク」の3段階に分ける制度を設け、「低リスク」は、デューデリジェンス義務内容を簡素化し、一方、「高リスク」は、デューデリジェンスを厳格化する手法を提案している。
今回「高リスク」に指定されたのは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、ミャンマーのみ。
一方「低リスク」は、日本、中国、韓国、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、オーストリア、リヒテンシュタイン、サンマリノ、モナコ、マルタ、アンドラ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、ギリシャ、アイスランド、ラトビア、リトアニア、エストニア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、アルバニア、北マケドニア、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ、モルドバ、アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン、トルコ、キプロス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、ラオス、ブルネイ、モンゴル、インド、スリランカ、モルディブ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン、イラン、サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、バーレーン、オマーン、クウェート、イエメン、パレスチナ、レバノン、ヨルダン、シリア、エジプト、南スーダン、ジブチ、ケニア、チュニジア、リビア、モロッコ、アルジェリア、カーボベルデ、マリ、ガーナ、トーゴ、ガボン、ルワンダ、ブルンジ、中央アフリカ共和国、サントメ・プリンシペ、コンゴ、コモロ諸島、モーリシャス、南アフリカ、レソト、エスワティニ、マダガスカル、セイシェル、チリ、ガイアナ、スリナム、コスタリカ、キューバ、アンティグア・バーブーダ、バルバドス、ドミニカ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、セントクリストファー・ネービス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、グレナダ、バハマ、トリニダード・トバコ、フィジー、ナウル、キリバス、ツバル、バヌアツ、ミクロネシア諸島、ソロモン諸島、マーシャル諸島、トンガ、ナウル、サモア、パプアニューギニア、パラオ、東ティモール。
「高リスク」と「低リスク」に指定されなかった国が「標準リスク」。マレーシア、インドネシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、ボリビア、ベネズエラ、グアテマラ、ホンジュラス、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、アンゴラ等が、「標準リスク」となった。
リスク分類の方法については、「高リスク」については、国連安全保障理事会もしくはEU理事会が経済制裁対象としている国と説明。森林破壊リスクではなく、純粋に経済制裁の有無で選んだことを明らかにした。
「低リスク」については、国連食糧農業機関(FAO)が作成した世界森林資源評価(FRA)の2020年版データを活用し、2015年から2020年までの年間森林面積減少率が0.2%以下かつ絶対的減少面積が1,000ha以下を満たす場合とした。加えて、森林減少の主な理由が農地拡大ではなく、都市部拡大であると判定される場合にも「低リスク」となった。FRAは2025年10月に最新版が公表される予定のため、あらためて2026年に分類をし直す意向も示した。
デューデリジェンスの内容では、標準リスクの国に関しては、リスク評価、サプライヤー監査等のリスク緩和措置、年次報告の義務が課される。高リスクの国に関しては、リスク緩和措置を徹底し、リスクが「無視できるレベル」にまで軽減できない限り、EU域内への輸入・販売が禁止される。反対に、低リスクの国に関しては、リスク緩和措置が原則不要となる。
同EU規則は、デューデリジェンスのレベルとして、高リスク国から輸入する企業では9%、標準リスク国から輸入する企業では3%、低リスク国から輸入する企業では1%を対象とし、コンプライアンスチェックを行うという内容も盛り込んでいる。
【参照ページ】COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION laying down rules for the application of the Deforestation Regulation
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